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医療費控除はいくら戻る?計算式と確定申告のやり方【2026年版】

1年間の医療費が10万円(※所得200万円未満の方は「所得の5%」)を超えたら、所得税や住民税が安くなる「医療費控除」を受けられます。

しかし、「どこまでが医療費控除の対象になるの?」「家族の分も合算できるって本当?」「確定申告って難しそう…」と、制度は知っていても実際に申請するのをためらっている方は少なくありません。

実は、医療費控除は家族全員の医療費を合算できるため、思った以上に対象になるケースが多いのです。しかも、手続きも平成29年分(2017年)から簡素化され、以前よりずっと申請しやすくなっています。

この記事では、医療費控除で税金がいくら安くなるのか、何が対象で何が対象外なのか、そして確定申告の具体的な手順まで、初心者でもわかるように解説します。

■目次

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医療費控除とは|10万円を超えた分が所得から控除される

医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合、超えた分を所得から控除できる制度です。

所得が減れば、その分だけ所得税と住民税が安くなります。つまり、医療費控除を申請すれば、所得税は還付(戻る)になることが多く、住民税は翌年度分が減るのが基本です。

医療費控除の基本条件

  • 対象期間:1月1日〜12月31日の1年間
  • 基準額:原則10万円(所得200万円未満の場合は所得の5%)
  • 上限額:200万円
  • 対象者:本人だけでなく、生計を一にする家族全員の医療費を合算できる

重要なポイント:サラリーマンでも医療費控除を受けるには確定申告が必要です。年末調整では医療費控除は受けられません。

家族全員の医療費を合算できる|生計を一にする親族とは?

医療費控除の大きなメリットは、家族全員の医療費を合算して計算できることです。

自分だけでは10万円を超えなくても、家族全員の医療費を合計すれば10万円を超えるケースは珍しくありません。

「生計を一にする親族」の範囲

医療費を合算できるのは、生計を一にする親族です。これは、同じ財布で生活している家族(生活費・学費などを継続的に負担している関係)を指します。

対象となる例

  • 同居している配偶者や子ども
  • 同居している両親や祖父母
  • 別居しているが、仕送りで生活している大学生の子ども
  • 別居しているが、生活費を援助している高齢の親

重要な判断基準:同居しているかどうかではなく、経済的に支えているかどうかが基準です。別居していても、仕送りで生活している家族の医療費は合算できます。

家族の中で誰が申告すべきか?

医療費控除は、家族の中で最も所得が高い人が申告すると、税金の還付額が大きくなります。

なぜなら、所得税は累進課税のため、所得が高いほど税率も高くなるからです。同じ医療費控除額でも、所得が高い人が申告した方が、より多くの税金が戻ってきます。

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医療費控除の計算方法|実際にいくら戻ってくる?

医療費控除額は、以下の計算式で求められます。

医療費控除の計算式

医療費控除額の計算式

(支払った医療費の合計 − 保険金などで補填された金額)− 10万円(※)= 医療費控除額

※所得が200万円未満の場合は、10万円ではなく「所得の5%」を差し引きます。

保険金などで補填された金額とは?

以下の金額は、支払った医療費から差し引く必要があります。

社会保険から受け取ったもの

  • 高額療養費
  • 出産育児一時金
  • 家族療養費
  • 療養費
  • 移送費

民間保険から受け取ったもの

  • 医療保険金
  • 入院給付金
  • 手術給付金
  • 傷害費用保険金

注意点:保険金は、その治療に対応する医療費からのみ差し引きます。たとえば、入院給付金50万円を受け取ったが、入院費用が30万円だった場合、差し引くのは30万円のみで、残りの20万円を他の医療費から差し引く必要はありません。

具体例で理解する|年収400万円・医療費60万円のケース

実際の数字を使って、医療費控除でどれくらい税金が安くなるのか計算してみましょう。

前提条件

  • 年収:400万円のサラリーマン
  • 課税所得:230万円(給与所得控除や社会保険料控除などを引いた額)
  • 医療費:60万円(歯科矯正など)
  • 保険金などの補填:なし

ステップ1:医療費控除額を計算

60万円(医療費)− 0円(保険金)− 10万円 = 50万円

医療費控除額は50万円です。

ステップ2:課税所得を計算

230万円(課税所得)− 50万円(医療費控除)= 180万円

医療費控除後の課税所得は180万円です。

ステップ3:所得税と住民税を比較

医療費控除前

  • 所得税:230万円 × 10% − 97,500円 = 132,500円
  • 住民税:230万円 × 10% = 230,000円
  • 合計:362,500円

医療費控除後

  • 所得税:180万円 × 5% = 90,000円
  • 住民税:180万円 × 10% = 180,000円
  • 合計:270,000円

節税効果(目安)

362,500円 − 270,000円 = 92,500円の減税

この例では、医療費控除を申請することで、約9万円も税金が安くなります。なお、実際の計算では復興特別所得税などが加わるため、最終的な金額は申告書の計算結果で確認してください。

※より詳しい所得税の計算方法は、所得税の計算(誰でもわかる図解で解説)をご覧ください。

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医療費控除の対象になるもの・ならないもの

「これは医療費控除の対象になるの?」と迷うケースは多いです。基本的な判断基準は、治療のための費用かどうかです。

医療費控除の対象になるものならないもの

予防や美容、健康増進のための費用は対象外です。以下、項目別に詳しく見ていきましょう。

病院・診療所での治療費

対象になるもの

  • 診察費、治療費
  • 入院費、入院中の食事代(病院提供のもの)
  • 医師の指示による差額ベッド代
  • 治療のための松葉杖、義足などの購入費

対象にならないもの

  • 予防接種費用
  • 健康診断費用(異常が見つかり治療に至った場合は対象)
  • 人間ドック費用(同上)
  • 自己都合の差額ベッド代
  • 入院中の出前・外食代
  • パジャマ、洗面用具など身の回り品の購入費
  • 医師や看護師への謝礼

薬代

対象になるもの

  • 医師の処方箋による薬代
  • 治療のための市販薬(風邪薬、胃腸薬など)
  • 医師の処方による漢方薬

対象にならないもの

  • サプリメント、ビタミン剤
  • 健康ドリンク
  • 予防や健康増進のための漢方薬

歯科治療

対象になるもの

  • 虫歯治療
  • 銀歯、金歯、入れ歯の費用
  • 治療目的の歯列矯正(子どもの歯並びの矯正など)
  • 治療目的のインプラント

対象にならないもの

  • 美容目的の歯列矯正
  • 歯垢除去(クリーニング)
  • ホワイトニング

判断のポイント:子どもの歯列矯正は成長のための治療と認められるケースが多いですが、大人の美容目的の矯正は対象外です。

眼科治療

対象になるもの

  • 白内障、緑内障の治療費
  • 治療のための眼鏡・コンタクトレンズ(医師の処方箋が必要)
  • レーシック手術費用

対象にならないもの

  • 一般的な近視、遠視、乱視用の眼鏡・コンタクトレンズ

あんま、はり、きゅう、マッサージ

対象になるもの

  • 治療目的のマッサージ、はり、きゅう
  • 柔道整復師による施術(国家資格保有者)

対象にならないもの

  • 疲労回復、健康増進目的のマッサージ
  • 無資格者による施術

出産費用

対象になるもの

  • 妊娠中の定期検診、検査費用
  • 出産費用
  • 助産師による分娩介助費
  • 流産した場合の手術費、入院費
  • 母体保護法に基づく妊娠中絶の手術費

対象にならないもの

  • 里帰り出産のための交通費
  • 出産準備のための講座受講費

交通費

対象になるもの

  • 通院のための電車、バスの運賃
  • 緊急時や公共交通機関が使えない場合のタクシー代
  • 一人で通院できない子どもや高齢者に付き添う家族の交通費

対象にならないもの

  • 通常の通院でのタクシー代
  • 自家用車のガソリン代、駐車場代

注意点:交通費は領収書がなくても認められます。通院日と区間、金額を記録しておけば大丈夫です。

医療費控除の確定申告方法|必要書類と手順

医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。平成29年分(2017年)から手続きが簡素化され、領収書の提出が不要になりました。

必要な書類

  1. 源泉徴収票(サラリーマンの場合)
  2. 医療費控除の明細書
  3. 確定申告書
  4. マイナンバーカード(または通知カード ※記載事項に変更がない場合のみ +本人確認書類)

重要な変更点:平成29年分から、領収書の提出は不要になりました。代わりに「医療費控除の明細書」を作成して提出します。

ただし、領収書は自宅で5年間保管する必要があります。税務署から提示を求められる可能性があるためです。

医療費控除の明細書の書き方

医療費控除の明細書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。

医療費控除の明細書の記載例

記入のポイント

  • 病院・薬局ごとにまとめて記入できる(すべての領収書を1枚ずつ書く必要はない)
  • 健康保険組合から送られてくる「医療費通知」があれば、それを添付することで明細書の記入を省略できる

確定申告の期限

確定申告の期間は、毎年2月16日〜3月15日(土日の場合は翌営業日)です。

ただし、サラリーマンなど給与所得者の場合、医療費控除の還付申告は1月1日から受け付けています。混雑を避けたい場合は、早めに申告するのがおすすめです。

※たとえば2026年(令和8年)の申告期限は、原則3月15日が日曜のため、翌営業日の3月16日が期限となります。

e-Taxなら自宅から申告可能

e-Tax(電子申告)を利用すれば、税務署に行かずに自宅から確定申告ができます。マイナンバーカードとICカードリーダー(またはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォン)があれば、24時間いつでも申告できます。

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医療費控除は5年間遡って申告できる

「去年の医療費、申告し忘れた!」という場合でも大丈夫です。

医療費控除は、過去5年分まで遡って申告できます。たとえば、2026年1月時点であれば、2021年分〜2025年分の医療費控除を申告できます。

古い領収書が見つかった場合は、諦めずに申告を検討しましょう。

まとめ|医療費控除で押さえるべき5つのポイント

  1. 家族全員の医療費を合算できる
    生計を一にする家族の医療費は、すべて合算して計算できます。別居している家族でも、仕送りで生活している場合は対象です。
  2. 10万円を超えた分が控除の対象
    所得200万円未満の場合は、所得の5%を超えた分が控除されます。
  3. 確定申告が必要
    サラリーマンでも、医療費控除を受けるには確定申告が必要です。年末調整では受けられません。
  4. 領収書の提出は不要(自宅で5年間保管)
    平成29年分から、領収書の提出は不要になりました。代わりに医療費控除の明細書を提出します。
  5. 5年間遡って申告できる
    申告し忘れても、過去5年分まで遡って申告できます。

医療費が10万円を超える年は、ぜひ医療費控除を活用しましょう。申告することで、数万円〜10万円以上の税金が戻ってくる可能性があります。

よくある質問

Q1. 健康保険料や国民健康保険料は医療費控除の対象になりますか?

A. いいえ、なりません。健康保険料は「社会保険料控除」の対象であり、医療費控除とは別の控除です。ただし、どちらも所得控除なので、併用して申告できます。

Q2. ドラッグストアで買った風邪薬は医療費控除の対象になりますか?

A. はい、治療目的であれば対象になります。ただし、サプリメントやビタミン剤、栄養ドリンクなど、予防や健康増進が目的のものは対象外です。

Q3. 医療費控除の申告を忘れていました。今からでも間に合いますか?

A. はい、過去5年分まで遡って申告できます。たとえば2026年であれば、2021年分〜2025年分の医療費控除を申告できます。領収書が残っていれば、諦めずに申告しましょう。

Q4. 家族の中で誰が申告するのが一番得ですか?

A. 家族の中で最も所得が高い人が申告すると、税金の還付額が大きくなります。所得税は累進課税のため、所得が高いほど税率も高くなるからです。

Q5. 医療費通知(医療費のお知らせ)は必ず添付しなければなりませんか?

A. いいえ、必須ではありません。ただし、医療費通知を添付すれば、明細書の記入を一部省略できるため、手間が省けます。医療費通知に記載されていない医療費がある場合は、別途明細書に記入する必要があります。

Q6. 保険金で補填された金額はどう計算すればよいですか?

A. 保険金は、その治療に対応する医療費からのみ差し引きます。たとえば、入院給付金50万円を受け取ったが入院費用が30万円だった場合、差し引くのは30万円のみです。残りの20万円を他の医療費から差し引く必要はありません。

Q7. 通院のための交通費は領収書がなくても認められますか?

A. はい、電車やバスの運賃は領収書がなくても認められます。通院日、区間、金額を記録しておけば大丈夫です。ただし、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。

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