国民年金・厚生年金

年金を払わないとどうなるのか?差押えになるの?

年金を払わないとどうなるのか?本当に差押えをされるの?
ここでは差押え等の内容やQ&A等含め最新の情報をお伝えします。

将来もらえないかもしれない年金をなぜ払わないといけないのでしょうか?
国民の義務ということはわかっている。でもいつ死ぬかもわからない。

サラリーマンは強制的に給料から天引きされます。
しかし自営業やフリーターなどは毎月1万6千円あまりも自分で支払わなければなりません。

では払わなければどうなのかをまずは数字でお伝えします。

 

国民年金の差押え状況

最終催告状 督促状 財産差押
27年4月~28年3月分 84801件 43757件 7310件
28年4月~29年3月分 85342件 50423件 13962件
29年4月~9月分 79428件 24959件 4328件

出典:厚生労働省

それぞれ年度別の段階を得ての財産差押状況です。
3行目は半年分の数値になります。

昨年度は1万4千件程の差押が発生しています。

差押えはある一定の条件で行われます。

・所得300万円以上(世帯として)
・未納期間13ヶ月以上

ただし、これらは度重なる督促に応じない未納者が対象です。
「払えるのに払わない」人を対象にしています。

国民年金未払いによる財産差押条件

差押は所得300万円以上

国民年金の未納金を強制徴収する対象者は、税金控除後の所得300万円以上です。
以前は所得350万円以上でしたが、引き下げました。

出典:産経新聞

所得とは、収入から必要経費を引いた額になります。

サラリーマンの場合は、給与所得を差し引いた額です。
所得が300万円の場合は、年収約440万円以上の人が対象です。

また、本人だけではありません。世帯として所得が300万円以上あるかどうかです。

未納期間が13ヶ月以上

年金を13ヶ月以上滞納している場合が差押の対象になります。
これまでは未納期間が7ヶ月以上でした。

所得を下げた代わりに未納期間が伸びたということになります。

催促から差押までの流れ

国民年金を納めてないからといっていきなり差押になるわけではありません。
それぞれ段階があります。段階を踏まえてもなお支払いに応じない場合に差押となるわけです。

国民年金催告から差押えまでの流れ

ではその流れを説明していきます。

1.特別催告状

国民年金の催促や取立は、外部の委託業者によって行われます

・株式会社アイヴィジット
・株式会社バックスグループ
・日立トリプルウィン株式会社
・NTT印刷共同企業体

その方法としては電話と郵便です。

電話の場合、留守番電話には録音されません。個人情報のためです。
知らない番号からかかっているからといって無視していると後で困ることになります。
番号をインターネットの検索で調べれば、年金関連かどうかはすぐに分かります。

特別催告状は1回ではなく、複数回郵送で届く場合もあります。

催告状がきたのであれば、速やかに住所管轄の年金事務所へ相談しましょう。

2.最終催告状

特別催告状で反応がない場合は、最終催告状の手続きになります。
名前の通り最終ですので、これを無視すると勤務先や取引先などの調査対象に入ります。

ここで真摯に対応しなければ個人の信用問題にも関わります。

3.督促状

催告状を無視すると次に届くのが督促状。

差押えの一歩手前です。既に個人情報も調べています。
そして調査の結果、支払い能力ありと判断されたことになります。

ここを無視してしまうと、金融機関などへの調査が入ります。

4.差押予告通知書(配達証明付き郵便)

差押えに入る旨の連絡がここで入ります。

滞納保険料を徴収するため、あなたの財産(差押、公売)に着手することになりましたので予告します」との文面が届きます。

これが本当に最後です。ここで支払わなければ財産の差押えの実行に入ります。

5.差押

差押えです。まずは預金口座が差押えられます。最終的に預貯金やマイカーが差し押さえがあります。

財産の差押えについては、本人名義の財産しか差押えはできません。
差押えられたくないために別名義の口座へ移す人もいるわけです

年金保険料には延滞金も発生します。
年9.2%(始めの3ヶ月間は年率2.9%)の延滞金も加算されて徴収されます。

もちろん職場にも調査済ですので年金滞納は知られることになります。
自営の場合は取引先に差押えの通知が行きます。

差押がなければ国民年金を滞納してもよいのか

知らない人も多いのですが、年金を支払うことでさまざまなメリットがあります。
そのメリットは以下の通り。

老齢年金を受け取れる
障害年金を受け取れる
遺族年金を受け取れる

将来年金が受け取れることはもちろんですが、その他にも障害を負った時や、ご主人が亡くなった場合など残された妻や子供に対する遺族年金も支払われます。年金を支払っていないことで、家族に負担をかけたり、家族に年金を残すこともできなくなります。

保険事故発生から月々約66,000円ずつ支払われる保険は、民間の保険ではありません
老後の年金に加えて、いざというときの保険にもなるわけです。

<参考ページ>
国民年金はいつから受け取れるの、どれくらいもらえるの?
障害年金について(わかりやすく図で説明)
遺族年金(残された妻と子のための年金)

国民年金を払いたくても払えない場合はどうすればよいのか

20歳から60歳までは国民年金の納付義務があります。

でも無職であったり、収入が少なすぎたり、借金があったりと支払えない場合もあるでしょう。
その場合はどのようにすればよいのでしょうか?

その場合は「国民年金保険料免除制度」 という制度があります。

仕事を辞めたり、世帯としての収入が少ない場合は、この制度を利用することで保険料免除や一部免除などを利用することができます。

無視していることが精神的にも一番良くありません。
まずは年金事務所へ相談することで何かしらの解決方法が見つかるはずです。

延滞金もついてしまうので、まずは相談することからはじめましょう。

国民年金の支払いについてのQ&A

ここでは年金についてのいくつかのQ&Aを掲載します。

第3号なのに知らないで払っていた

年金の支払い区分としては以下3つに分類されます。

被保険者種類 該当者 加入者数
第1号被保険者 日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業、漁業、学生および無職の方とその配偶者(第3号被保険者でない方) 1,742万人
第2号被保険者 正社員等フルタイム等で厚生年金に加入している会社員や公務員の方 4,040万人
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている方で原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方 932万人

第3号の多くはサラリーマンの妻に該当する方です。サラリーマン(第2号)の扶養の要件を満たしている方は国民年金保険料が免除されます。

当然払いすぎていた分は取り戻すことができますので、年金事務所にて還付の手続きを行いましょう。

支払いが可能なのに放置すればどうなるの?

年金支払を放置してしまうと、上記のように催告状、督促状、財産差押えになります。
差押えにまで進展すると、個人の信用を失くしかねません。

何より生活の片隅に年金未払いの「やっかいな荷物」があるのが精神上一番よくないこと。
早めに相談することで解決してスッキリさせることです。

督促状が届きました。親と同居している場合は親に請求がいくのでしょうか?

本人が払えない場合は、あなたの配偶者や世帯主も連帯納付義務者になります
そして同居の親は配偶者へも督促が始まります。

もちろんいずれは家族に知られることになりますので、早めに相談した方がよいでしょう。

国民年金保険料については、被保険者本人だけでなく被保険者の配偶者及びその世帯主にも連帯して納付義務が課せられます。(国民年金法第88条)

さいごに

・国が信用できない
・自分で貯金した方がよい
・いざというときは生活保護で良い

こう思う気持ちもわかります。

ですが国民年金は法律で決まっている以上支払う義務があります。
日本に住んでいる以上は払わなければならないもので、税金と同じです。

厳しい言い方ですが、嫌なら日本から出ていくしかありません。

今は年金の受け取りは65歳から。
ですが近い将来段階的に引き上げられ、年金受給年齢は70歳からになるでしょう。

年金額はこれ以上下げようがありませんので、その分税金で負担することになります。

国民年金は480ヶ月が満期です。年数にすれば40年。
40年払い続ければ満額受け取ることができますが、最低10年払い続ければ受け取ることができます。

※以前は25年以上の加入期間が必要でしたが、10年以上に変更になりました(平成29年8月1日より)

実際には、将来年金で受け取れる額では生活できません。
(厚生年金に加入している場合は問題ないかもしれません)

年金との格差から、生活保護も今よりももっと窮屈な生活になっていくでしょう。
年金も含め難しい問題です。

 

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