国民年金・厚生年金

年金の仕組み(わかりやすく図で説明)

2017年10月6日

年金というのは、現役世代の保険料を負担することで、高齢者世代の年金給付に必要な費用を補う制度です。自分が支払っている年金が、将来自分に戻っているわけではありません。
決して自分のために支払っているわけではないのです。

年金の仕組み。現役世代から高齢者へ

年金は日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が加入する必要があります。

年金の加入者には以下の3つに分かれます。

  • 第1号被保険者
  • 第2号被保険者
  • 第3号被保険者

のいずれかです。

被保険者種類 該当者 加入者数
第1号被保険者 日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業、漁業、学生および無職の方とその配偶者(第3号被保険者でない方) 1,742万人
第2号被保険者 厚生年金に加入している会社員や公務員、フルタイム勤務の方 4,040万人
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている方で原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方 932万人

※加入者数:2015年12月発表(厚生労働省)

これまでは年金を受け取るためには、保険料を25年以上払い続けなければ受け取ることができませんでした。それが2017年8月1日より、資格期間が10年以上に変更になりました。

累計で10年間年金の支払いがあれば、将来年金を受け取ることができます。当然支払い期間が長いほうがより多くの年金を受け取ることができます。(保険料免除期間も含まれます)

 

年金は3階建てに分かれています

年金を受取る種類としては3つに分かれています。3階建ての家と考えればわかりやすいでしょう。
国民年金のみ加入していた場合は1階部分のみの受け取り。厚生年金や企業年金に加入していた場合は1階から3階部分まですべて受け取ることができます。

こちらの見方ですが、人によってどの部分に加入しているか分かれます。

第1号被保険者の方は1階部分の国民年金のみの加入です。また第2号被保険者(会社員や公務員)に扶養されている人も国民年金のみの加入です。
第2号被保険者の方は1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金に加入しています。また公務員や一部企業は、3階部分の企業年金等、年金払退職給付(公務員)に加入しています。

年金種類 被保険者種類 受け取れる種類
国民年金 第1号被保険者、第3号被保険者 国民年金のみ
厚生年金 第2号被保険者 国民年金+厚生年金
企業年金等 第2号被保険者の一部 国民年金+厚生年金+企業年金等

当然1階部分より3階部分まで加入している人の方が、将来受け取れる年金額は多くなります。

3階部分まで加入している方が年金の受取額は多い

国民年金・厚生年金の保険料について

国民年金の保険料は毎年変わってきます。

2020年4月(令和2年)~:月額 16,540円
2021年4月(令和3年)~:月額 16,610円
2022年4月(令和4年)~:月額 16,590円

厚生年金の保険料は今受け取っている給与の額によって変わってきます。
そして厚生年金保険料は会社と折半です。会社が半分負担してくれるので働いている方としてはとてもお得になります。
※厚生年金は2階建て部分になりますので、受取額には国民年金部分も含まれています。

また、第2号被保険者(会社員、公務員等)に扶養されている第3号被保険者については、保険料の支払いはありません
第3号被保険者の年金は第2被保険者の保険料よりまかなっているからです。

10年間年金を払い続けていれば将来年金を受け取ることができます。

ちなみに過去の国民年金保険料はいくらくらいだったのでしょうか?
1961年(昭和36年)からの推移は以下の通りです。

国民年金額の推移

国民年金制度が始まった当時は150円(35歳未満は100円)でした。
1993年(平成5年)に1万円を超えています

国民年金・厚生年金保険料の詳細については以下のページで確認してください。
国民年金・厚生年金の保険料について

国民年金・厚生年金はいつから、いくらもらえるのか

年金を受け取ることができるのは65歳になってからです。

国民年金は満額で777,800円です。そこから保険料を支払っていない月数を引いて計算します。

詳細は以下を確認してください。
国民年金はいつから受け取れるの、どれくらいもらえるの?

年金制度の5つのメリット

日本の年金制度は老後のための生活保障です。現役世代が働いて高齢者の生活を支えています。
2010年の時点では3人で1人の高齢者の年金を支えていましたが、2040年頃には1.5人で1人の高齢者の年金を支えることになります。

では現役世代、特に若者は将来年金をもらうことができるのでしょうか?
こう考えるのは当たり前ですし年金制度に不信感を持っている人は増えています。

確かに、今後1人あたりの負担は増え、受け取れる年齢も引き上げられる可能性があります。
ですが今後も制度を改正しながら存続してきますので、将来受け取れないということはありません。

以下年金制度の5つのメリットについて紹介します。

財源は税金でカバーする

国民年金の老齢基礎年金は、2分の1が国庫負担(税金)でまかなわれています。これからも年金保険料で足りなくなった場合は税金で補うことになります。
厚生労働省の試算では、若い人でも将来受け取る年金額は、納めた額以上に受け取ることができるとされています。

年金は払うだけ無駄ではなく、納めた額以上の恩恵を将来受けることができるのです。

日本の2017年の平均寿長は男性81.09歳、女性87.26歳となっています。これは過去最高を更新しています。

男性:81.09歳
女性:87.26歳

仮に40年間満額で国民年金保険料を支払い、65歳から平均寿命まで生きたとするとどれくらいの差が生まれるのでしょうか。

結果は以下の通りです。

国民年金の受給額と支払額の差

男性でおよそ500万円。女性では1,000万円もトータルでは得をしたことになります。

長く生きれば生きるほどお金がかかります。これを長生きリスクと言われています。
年金はそれを補うためにもとても大切な収入源になるのです。

インフレに強い

将来物価が上がった場合はどうなるのでしょうか。たとえば物価が3倍に値上がりした場合、受け取れる年金額が変わらなければ意味がありません。
そこで賃金や物価に合わせて、保険料と給付のバランスを取る仕組みになっています。そのことを「物価スライド制」と言います。

物価が上がれば保険料も値上がりするが、その分受け取る年金額も上がる仕組みです。
もちろん逆も考えられます。

仮に貯蓄が3,000万円あったとしても将来物価が3倍になれば価値は3分の1に低下してしまいます。
年金にはそのリスクが少ないわけです。

障害年金と遺族年金が受け取れる

年金は何も老後の生活費だけではありません。

病気やケガで障害を負った時には障害年金を受け取ることができます。
また、死亡した場合に残された遺族に対して支払われる遺族年金もあります。

残念なことにこのことはあまり知られていません。これはいざというときの大きな味方になりえます。
障害年金、遺族年金が受け取れるのと受け取れないのでは、今後の人生設計に大きく関わってきます

細かい内容については、いかを参照してください。
障害年金について(わかりやすく図で解説)
遺族年金(残された妻と子のために)

国民年金の免除や猶予の制度がある

収入が減ってしまい国民年金保険料が支払えない場合、免除制度や猶予制度があります。

近年、国民年金保険料の未払いや滞納などが社会問題となっています。
保険料を納めることが経済的に苦しい場合は、一定の手続きをすれば、保険料の支払い免除や猶予を受けることができます。

免除制度を利用することで将来年金が受け取れる累計にカウントすることができますし、全額免除の場合でも年金の半分は受け取ることができます。免除や猶予に該当する場合、この制度を利用しないと損です。

詳しくは以下のページをご覧ください。
国民年金を払えない場合は 国民年金保険料免除制度 を利用しましょう

社会保険料控除の対象になる

保険料は社会保険料控除の対象になります。
会社員の場合は年末調整で控除され、個人事業主は確定申告で申告します。

年金保険料を納めることで税金の支払いが安くなります。

以上5つのメリットについて紹介しました。

年金は老後の生活資金になるため、本当に大切なものです。
自分はいくら年金を支払っていて、将来どのくらい受け取ることができるのかを「ねんきん定期便」や「年金の窓口」等で常に把握しておきましょう。

 

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