障害基礎年金を受給している方に、年金に上乗せして支給される「障害年金生活者支援給付金」をご存じでしょうか?
この給付金は一時的な臨時給付金ではなく、毎年の所得制限などの条件を満たし続ける限り、ずっと支給され続ける給付金です。しかも非課税なので、受け取った金額がそのまま手元に残ります。
2026年度(令和8年度)は前年度から3.2%の増額が行われ、1級は月額7,025円(年約8.4万円)、2級は月額5,620円(年約6.7万円)に引き上げられました。
実は、障害基礎年金を受給している方の約97%がすでに受給しているほど、対象者の範囲が広い給付金です。しかし、逆に言えば3%の方は対象であるにもかかわらず受け取っていないことになります。
この記事では、障害年金生活者支援給付金に特化して、金額、対象条件、申請方法、振り込みのタイミング、よくある間違いや疑問を解説していきます。
▼3種類の給付金(老齢・障害・遺族)を概要から知りたい方はこちら
■目次
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障害年金生活者支援給付金とは
制度の基本
障害年金生活者支援給付金は、年金を含めても所得が低い方を支えるために、障害基礎年金に上乗せして支給される国の給付金です。2019年10月、消費税が10%に引き上げられたタイミングで創設されました。
障害年金生活者支援給付金の特徴
- 障害基礎年金に上乗せで支給される
- 非課税(所得税・住民税がかからない)
- 一時的な給付ではなく、条件を満たせば生涯受給できる
- 障害等級に応じた定額支給(保険料の納付期間には左右されない)
- 年金と同じ口座に、年金とは別に振り込まれる
- 財源は消費税の増税分(全額が国の負担)
老齢向けの給付金との大きな違い
年金生活者支援給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類がありますが、障害版には老齢版にはない大きなメリットがあります。
| 比較項目 | 老齢年金生活者支援給付金 | 障害年金生活者支援給付金 |
|---|---|---|
| 世帯要件 | 世帯全員が住民税非課税であること | 世帯要件なし(本人の所得のみで判定) |
| 所得基準 | 年金+所得の合計が約80万円以下 | 前年の所得が479.4万円以下 |
| 金額の決まり方 | 保険料の納付月数で変動 | 等級に応じた定額 |
老齢版は「世帯全員が非課税」という厳しい条件がありますが、障害版は本人の所得だけで判定されるため、同居家族に収入がある方でも対象になります。さらに所得基準も約479万円と高めに設定されているため、ほとんどの障害基礎年金受給者が該当します。
2026年度(令和8年度)の給付金額
2026年度は、物価変動率に基づき前年度から3.2%の増額となりました。
| 障害等級 | 月額(2026年度) | 年額換算 | 前年度からの増額 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 7,025円 | 約84,300円 | +約218円/月 |
| 2級 | 5,620円 | 約67,440円 | +約174円/月 |
1級と2級では月に1,400円ほど、年間で約17,000円の差があります。
なぜ年金本体(+1.9%)より大きく上がるのか?
年金本体には「マクロ経済スライド」という抑制ルールがあり、物価が上がっても年金額の伸びが物価上昇に追いつきません。しかし、給付金にはこの抑制ルールが適用されないため、物価上昇がそのまま反映され、結果的に年金本体よりも大きな増額になります。
10年・20年受給するといくらになる?
| 受給期間 | 2級(月5,620円)の累計額 | 1級(月7,025円)の累計額 |
|---|---|---|
| 5年 | 約33.7万円 | 約42.2万円 |
| 10年 | 約67.4万円 | 約84.3万円 |
| 20年 | 約134.9万円 | 約168.6万円 |
月額だけ見ると大きな金額には感じにくいですが、非課税で何十年も受給し続けると100万円を超える差になります。もらい忘れている方は早めに手続きすることが大切です。
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対象になる人・ならない人
給付の対象となる2つの条件
【障害年金生活者支援給付金の受給条件】
- 障害基礎年金を受給していること
- 前年の所得が4,794,000円(479.4万円)以下であること
この2つを両方満たせば対象です。
障害厚生年金を受給している場合はどうなる?
「自分は障害厚生年金だからもらえないのでは?」と思う方もいますが、障害等級が1級または2級であれば対象です。
障害等級1級・2級の方は、障害厚生年金と障害基礎年金をあわせて受給しています。給付金は「障害基礎年金の受給者」が対象なので、厚生年金を受給していても問題ありません。
対象にならないケース
- 障害厚生年金3級のみを受給している方 → 障害基礎年金の対象外のため、給付金も対象外
- 障害手当金(一時金)のみを受給した方 → 同上
所得479.4万円の判定ルール
所得の判定では「収入」ではなく「所得」が基準です。収入全体から必要経費や各種控除を差し引いた金額が479.4万円以下かどうかで判定されます。
所得判定の注意点
- 障害年金は非課税収入のため、所得には含まれない
- 所得基準の479.4万円は、扶養親族の人数に応じて増額される
扶養親族がいる場合の基準額
基準額は、扶養親族1人につき原則38万円が加算されます。ただし、親族の種類によって加算額が異なります。
| 扶養親族の種類 | 1人あたりの加算額 |
|---|---|
| 一般の扶養親族 | 38万円 |
| 同一生計配偶者のうち70歳以上、または老人扶養親族 | 48万円 |
| 特定扶養親族、または16歳以上19歳未満の扶養親族 | 63万円 |
たとえば、一般の扶養親族が1人いる場合、所得基準は479.4万円+38万円=517.4万円以下に広がります。
増額が振り込まれるのは「6月15日」から
「4月分から増額」と聞くと、4月の振り込みから増えると思いがちですが、4月の振り込みはまだ前年度の金額です。
振り込みスケジュール
- 給付金は年金と同じく2ヶ月分が翌々月の15日に振り込まれる
- 4月分・5月分 → 6月15日に振り込み ← ここから新金額!
- 4月に届く振り込みは2月分・3月分(旧金額)
「4月になったのに金額が増えていない!」と慌てる方が多いですが、6月15日まで待てば新しい金額で振り込まれますので、ご安心ください。
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申請方法|初回の手続きは必ず必要
給付金は、受給要件を満たしていても請求手続きをしないと1円ももらえません。
すでに受給中の方(手続き不要)
一度申請が通れば、2年目以降は自動で継続されます。毎年の所得判定も年金機構が自動で行うため、課税証明書などの提出も原則不要です。
継続判定の結果は毎年10月分(12月支払い分)から1年間反映されます。
これから新規で申請する方
【申請の流れ】
- 請求書に必要事項を記入する(日本年金機構のハガキ、または窓口で取得)
- 年金事務所に提出する(郵送も可)
- 審査が行われ、結果の通知が届く
- 支給決定なら、年金と同じ口座に年金とは別に振り込まれる
これから障害基礎年金を新規に請求する方は、基礎年金の請求書と一緒に給付金の請求書も提出するのが一番確実です。
絶対に覚えておきたい「3ヶ月ルール」
給付金は原則として「請求した翌月分」からの支給ですが、新たに障害基礎年金の受給権を得た方には特例があります。
受給権を得た日から3ヶ月以内に手続き → 年金の受給開始月まで遡って支給される
3ヶ月を過ぎてから手続き → 手続きの翌月分からのみの支給。遡りなし
3ヶ月を1日でも過ぎると、過去分は一切取り戻せません。障害基礎年金の請求と同時に給付金も申請するのが最善です。
まとめ
この記事のポイント
- 障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金に上乗せで支給される非課税の給付金
- 2026年度は1級:月額7,025円、2級:月額5,620円(3.2%増額)
- 障害基礎年金受給者の約97%が受給中。ほとんどの方が対象
- 障害厚生年金1級・2級の方も対象(基礎年金を併せて受給しているため)
- 障害厚生年金3級のみ・障害手当金のみの方は対象外
- 所得基準は479.4万円以下(扶養親族の数で増額あり)
- 老齢版と違い「世帯全員が非課税」の条件がない → 対象になりやすい
- 新規申請は障害基礎年金の請求と同時が安心。3ヶ月を過ぎると遡り支給なし
- 増額が反映されるのは6月15日の振り込みから
- 2年目以降は自動継続。毎年の申請は不要
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問い合わせ先
年金生活者支援給付金 専用ダイヤル
ナビダイヤル:0570-05-4092
050回線から:03-5539-2216
受付時間:平日 8:30〜17:15(月曜日は19:00まで延長)
第2土曜日 9:30〜16:00
電話が難しい方(聴覚障害等)は、最寄りの年金事務所へFAXでの相談も可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. 夫婦2人とも障害基礎年金を受給しています。2人とも給付金をもらえますか?
はい。給付金は世帯ではなく個人ごとに支給されます。2人がそれぞれ受給条件を満たしていれば、2人分の給付金を受け取れます。
Q. 前年の所得が基準を超えましたが、今年は所得が下がりそうです。今年から受給できますか?
いいえ。所得判定は「前年の所得」で行われるため、今年の所得が下がっても今年分の給付金には反映されません。今年の所得が基準以下になれば、来年度の判定(2027年10月分〜)で対象になる可能性があります。案内は2027年9月頃に届く予定です。
Q. 給付金は確定申告に含める必要がありますか?
不要です。障害年金生活者支援給付金は非課税のため、所得税も住民税もかかりません。確定申告の収入にも含めません。
Q. 一度受給が止まった後、また条件を満たしたらどうすればいいですか?
再度、給付金の請求手続きが必要です。条件を満たさなくなって支給が止まった場合は、自動的には再開されません。
Q. 障害の等級が変わったら金額も変わりますか?
はい。2級から1級に変更になれば月額5,620円から7,025円に増額されます。等級変更は年金機構が把握するため、給付金側の手続きは原則不要です。金額が変わる場合は「支給金額変更通知書」が届きます。
Q. 生活保護を受けていても給付金はもらえますか?
受給条件を満たしていればもらえます。ただし、給付金額は生活保護の収入認定の対象となり、その分だけ保護費が減額される場合があります。詳しくは担当のケースワーカーにご確認ください。
Q. 手続きに必要な書類はありますか?
原則として、課税証明書などの添付は不要です。マイナンバーを通じて年金機構が市区町村の所得情報を直接確認するためです。代理人が手続きする場合は委任状が必要な場合があります。
参考・出典
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の支給対象期間を教えてください。」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の対象となるのはどんな人ですか」
- 年金生活者支援給付金の支給に関する法律(第7条 認定の特例)


