生活保護は誰でも受けられる?2026年の条件・もらえる金額の目安

生活保護

生活保護は誰でも受けられる?2026年の条件・もらえる金額の目安

「生活保護ってどうやったらもらえるの?」
「いくらもらえるの?自分は対象になる?」
「申請したら家族に連絡がいくの?」

生活保護は、生活に困ったとき、誰もが使える「最後のセーフティネット」です。日本国憲法第25条にもとづく国民の権利であり、恥ずかしいことでも特別なことでもありません。

とはいえ、制度が複雑で情報もバラバラなので「結局よくわからない」という人がほとんどだと思います。この記事では、生活保護の条件・金額・申請の流れを、表や具体例を使ってできるだけわかりやすくまとめました。

スポンサーリンク

生活保護とは?制度の基本

生活保護は、生活保護法にもとづいて、生活に困っているすべての国民に対し、困っている度合いに応じた支援を行い、最低限度の生活を保障する制度です。

大事なポイント

  • 「なぜ困っているのか」は一切問われない(生活保護法第2条「無差別平等の原理」)
  • 事業の失敗でも、ギャンブルによる借金でも、理由に関係なく申請できる
  • これは国からの「恩恵」ではなく、憲法が保障する権利

生活保護を受けるための4つの条件

生活保護は「最後のセーフティネット」(生活保護法第4条)という位置づけなので、まず自分で使える手段を使い切ることが求められます。

生活保護の4つの条件の「よくある誤解」

条件①:持っている資産を使う

預貯金・不動産・自動車・生命保険・株式などの資産がある場合は、原則として売却して生活費に充てる必要があります。

よくある疑問——「貯金ゼロじゃないとダメ?」

ゼロである必要はありません。実際には、最低生活費の半額程度(数万円以内)の貯金であれば「急な出費への備え」として手元に残すことが認められています。

よくある疑問——「持ち家は売らないとダメ?」

築年数が古くて資産価値が低い場合(数百万円以下が目安)で、住宅ローンを払い終わっていれば、持ち家に住みながら受給できるケースは多くあります。「住み続けてもらった方が家賃補助(住宅扶助)を出す必要がなく、行政の負担が減る」という合理的な判断がされるためです。

条件②:働ける人は働く努力をする

15〜64歳で健康に問題がない場合は、就職に向けた努力が求められます。ただし、「今すぐ仕事をしていないとダメ」というわけではありません。ハローワークなどで真剣に仕事を探していれば、この条件はクリアできます。

条件③:家族からの援助を先に受ける

親やきょうだいなど、民法で定められた扶養義務者から援助を受けられる場合は、そちらが優先されます。

ただし、これは絶対条件ではありません。家族と連絡が取れない場合や、DV(家庭内暴力)・虐待の経験がある場合には、この要件は除外されます。

条件④:使える制度を先に使う

年金・雇用保険・児童扶養手当など、利用できる制度をすべて活用したうえで、それでも最低生活費に届かない場合に、その差額が生活保護として支給される仕組みです。

スポンサーリンク

いくらもらえる?ケース別シミュレーション

生活保護の金額は、住んでいる地域(級地)世帯の人数・年齢によって決まります。全国の市区町村は物価水準に応じて「1級地-1」〜「3級地-2」の6段階に分けられており、東京23区などの大都市は基準額が高く、地方ほど低くなります。

5つのモデルケースの月額支給額

ケース 居住地 生活扶助(加算含む) 住宅扶助(上限) 合計月額
①単身・30代 東京23区 約76,000円 53,700円 約129,700円
②単身・65歳以上 東京23区 約71,000円 53,700円 約124,700円
③母子(母30代+小学生1人) 東京23区 約145,000円 64,000円 約209,000円
④単身・40代 地方都市(3級地) 約67,000円 30,000円 約97,000円
⑤夫婦(60代・子なし) 地方都市(3級地) 約105,000円 38,000円 約143,000円

※令和7年10月以降の基準額にもとづく概算です(冬季加算は含みません)。令和7〜8年度は物価高騰への対応として、1人あたり月額1,500円の特例加算が上乗せされています。実際の支給額は、お住まいの級地や各種加算(障害者加算など)によって変わります。
※年金などの収入がある場合は、上の合計額から収入分を差し引いた額が支給されます。

住宅扶助(家賃補助)の上限額

地域 単身世帯 2人世帯 3〜5人世帯
東京都(1級地) 53,700円 64,000円 69,800円
大阪府(1級地) 40,000円 48,000円 52,000円
地方都市(3級地等) 25,000〜37,000円 30,000〜45,000円 33,000〜49,000円

生活費以外もカバーされる。8種類の扶助一覧

生活保護は「生活費の現金支給」だけではありません。全部で8種類の扶助(サポート)が組み合わされて適用されます。

医療扶助の破壊力(保険証との違い)

扶助の種類 カバーする範囲 給付の方法
①生活扶助 食費・日用品・被服費・光熱水費 現金
②住宅扶助 家賃・敷金・更新料 現金 or 代理納付
③医療扶助 診察・薬・手術・入院すべて 現物(窓口負担ゼロ
④教育扶助 学用品・給食費・クラブ活動費(義務教育) 現金
⑤介護扶助 ヘルパー・デイサービス・施設入所の費用 現物(自己負担ゼロ)
⑥出産扶助 妊娠・出産にかかる費用 現金
⑦生業扶助 就職に必要な資格取得費、高校の学費 現金
⑧葬祭扶助 火葬・納骨にかかる最低限の費用 現金

特に知っておきたいのが③医療扶助です。病院の窓口での支払いが完全にゼロになります。国保や社保のような3割負担もなく、診察・薬・手術・入院のすべてが無料です。

スポンサーリンク

支給日はいつ?

項目 内容
支給頻度 毎月1回
支給日 自治体によるが、毎月1日〜5日が一般的
支給方法 金融機関への振込、または窓口で現金手渡し
初回支給 保護開始の決定後、申請日にさかのぼって日割り計算

「一時扶助」急な出費にも対応

毎月の定期支給のほかに、以下のような急な出費に対して追加で支給される「一時扶助」という仕組みもあります。

  • 入居時の敷金・礼金・引っ越し費用
  • 入院・退院にともなう日用品費
  • 冬場の布団代・暖房器具代
  • 進学・就職にともなう被服費

申請の流れと知っておきたいこと

大前提:生活保護の申請は国民の権利です。窓口で「申請したい」と伝えた場合、役所がそれを拒否することはできません。

ステップ1:福祉事務所に相談に行く

お住まいの市区町村の福祉事務所(市役所・区役所の生活支援課など)の窓口に行き、今の状況を相談します。

ステップ2:申請書を出す

保護を受けたいという意思をはっきり伝え、「生活保護申請書」を提出します。

ここが重要申請の時点で書類がすべてそろっていなくても、申請を断ることは法律上できません。もし「書類が足りないから出直してください」と言われたら、それは不適切な対応です。

ステップ3:調査・審査

担当のケースワーカー(相談員)が決まり、以下のような調査が行われます。

  • 自宅への訪問(生活の実態を確認)
  • 金融機関や生命保険会社への資産の確認
  • 親族への扶養の確認(後述の「扶養照会」)

ステップ4:結果の通知(原則14日以内、最長30日)

項目 内容
原則 申請日から14日以内に決定
例外 調査に時間がかかる場合、最長30日
通知方法 書面で「開始」または「却下」が届く

「扶養照会」家族にバレる?2021年の大きな変更点

多くの人が最も心配するのが、親や兄弟に「あなたの家族が生活保護を申請しました」と連絡がいくこと(これを「扶養照会」と言います)です。

家族バレを防ぐ!扶養照会の新ルール

しかし、2021年に厚生労働省がこの運用ルールを大きく見直しました。

2021年以降の新しいルール

以下のいずれかに当てはまる場合、親族への連絡は「しない(見合わせる)」ことが明確になりました。

  • 申請する本人が連絡を強く拒否している
  • 親族と10年程度の音信不通がある
  • 親族に借金問題がある
  • 過去にDV(家庭内暴力)や虐待があった

このルール変更により、本人に無断で親族へ連絡がいくリスクは大きく下がっています。

役所の窓口で申請を断られたら

「まだ若いんだから働けるでしょ」「住所がないと申請できません」こうした理由で窓口の担当者が申請書を渡さず追い返すケースが、残念ながらあります。これは明確な違法行為です。

窓口で不当に断られた場合の対処法

  1. 認定NPO法人「もやい」(自立生活サポートセンター)に相談する
  2. 法テラス(国が設置した法的トラブルの相談窓口)に相談する
  3. 支援者や弁護士に付き添ってもらい、一緒に窓口へ行く

専門家が同席すると、役所は適正な手続きを行わざるを得なくなります。

スポンサーリンク

年金や障害年金をもらっていても受けられる?

年金との併用

年金を受け取っていても、その金額が最低生活費より少なければ、足りない分が生活保護として支給されます。「年金をもらっているから生活保護は受けられない」というのはよくある間違いです。実際に、生活保護を受けている高齢者の多くが年金と保護費の両方で暮らしています。

障害年金との併用(障害者加算でプラスになることも)

障害年金を受け取っている場合、その金額は保護費から差し引かれます。しかし、障害の等級(1級・2級)に応じて「障害者加算」が最低生活費に上乗せされるため、結果的に一般の受給者よりも多い金額になります。

健康保険との関係

生活保護の受給が始まると、国民健康保険からは脱退する形になり、保険料の支払いはなくなります。それ以降の医療費はすべて医療扶助(窓口負担ゼロ)でまかなわれます。

まとめ

この記事のポイント

  • 生活保護は憲法25条にもとづく国民の権利。理由を問わず申請できる
  • 4つの条件:資産の活用、就労の努力、家族の援助、他の制度の活用
  • 貯金ゼロでなくても申請できる。持ち家に住みながら受給できるケースもある
  • 東京23区の単身者で月約13万円、母子世帯で月約21万円が目安
  • 医療費は窓口負担ゼロ。介護サービスも自己負担なし
  • 申請から決定まで原則14日以内
  • 親族への連絡(扶養照会)は2021年に大幅にゆるくなった。10年以上音信不通やDVの経験があれば連絡されない
  • 年金や障害年金を受け取っていても、足りない分は受給できる
  • 窓口で不当に断られたら→NPO法人「もやい」・法テラスに相談

▼あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q. 生活保護を受けたら車は持てませんか?

原則として車の保有は認められていません。ただし、公共交通機関がない地方での通勤や、障害のある方の通院に「どうしても必要」と福祉事務所が認めた場合は、排気量や車の価値などに条件をつけたうえで保有が認められることがあります。

Q. スマホやパソコンは持てますか?

持てます。就職活動や行政の手続き、日常生活に必要なものとして認められています。通信費は毎月の生活扶助の中からやりくりする形になります。

Q. 生命保険は解約しなければなりませんか?

解約してお金が戻ってくる「貯蓄型」の保険は、原則として解約が必要です。ただし、掛け捨てタイプの医療保険や、解約しても戻ってくるお金が最低生活費の3ヶ月分以下の少額な保険は、福祉事務所の判断で持ち続けられるケースが多いです。

Q. 住所がなくても申請できますか?

できます。「住所がないから申請できない」というのは法的に誤りです。ホームレス状態の方やネットカフェで生活している方でも申請できます。もし窓口で断られた場合は不適切な対応にあたるため、NPO法人「もやい」や法テラスに相談してください。

参考・出典

  • 厚生労働省「生活保護制度」
  • 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年10月〜)」
  • 厚生労働省「生活保護制度における住宅扶助基準額」
  • 厚生労働省「『生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』の一部改正について(令和3年3月30日)」
  • 厚生労働省「被保護者調査(令和5年度確定値)」
  • 厚生労働省「令和7年度予算(案)の概要」(特例加算の増額について)
  • みまもり不動産「生活保護の住宅扶助とは?上限額と仕組みを解説」
  • 認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい「生活保護制度について」
  • 「生活保護の扶養照会 要保護者の意向尊重 厚労省が通知」

-生活保護
-