「年金って結局いくら払って、いくらもらえるの?」「国民年金と厚生年金の違いって何?」
年金制度は誰もが関わる重要な仕組みですが、複雑でわかりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、年金の基本的な仕組みを図を使って初心者にもわかりやすく解説します。自分がどの年金に加入していて、将来いくら受け取れるのか、そして年金制度にはどんなメリットがあるのかを理解できる内容になっています。
年金は老後の生活を支える大切な収入源です。「よくわからないから」と放置せず、基本を押さえておきましょう。
■目次
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年金制度の基本的な仕組み|現役世代が高齢者を支える
年金は「自分が払ったお金が将来自分に返ってくる貯金」ではありません。現役世代が支払った保険料で、今の高齢者の年金をまかなう「世代間扶養」の仕組みです。
自分が支払っている年金は、今の高齢者の生活を支えるために使われています。

日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が年金に加入する義務があります(原則として「60歳の誕生日の前日」までが加入期間です)。
3つの被保険者種類
年金の加入者は、働き方や立場によって以下の3つに分類されます。
| 被保険者種類 | 該当者 | 加入者数 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業、漁業、学生および無職の方とその配偶者(第3号被保険者でない方) | 1,387万人 |
| 第2号被保険者 | 厚生年金に加入している会社員や公務員、フルタイム勤務の方 | 4,672万人 |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されている方で原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方 | 686万人 |
※加入者数:2024年3月末現在(厚生労働省)
「自分がどれなのか」をざっくり判断する目安は次の通りです。
- 会社員・公務員として働いている:第2号被保険者
- 会社員・公務員に扶養されている配偶者:第3号被保険者(該当するかは勤務先での手続き結果で決まります)
- 自営業・フリーランス・学生・無職などで上記に当てはまらない:第1号被保険者
年金を受け取るために必要な期間
かつては25年以上の加入期間が必要でしたが、2017年8月1日から10年以上に短縮されました。
累計で10年間年金を支払えば、将来年金を受け取ることができます(保険料免除期間も含まれます)。ただし「10年で満額もらえる」という意味ではなく、あくまで受け取る資格(受給資格期間)の話です。支払い(免除を含む)期間が長いほど受給額は増えます。
年金は3階建て構造|自分がどこまで加入しているか確認しよう
年金制度は「3階建ての建物」に例えられます。自分がどの階まで加入しているかで、将来受け取れる年金額が大きく変わります。

1階部分:国民年金(基礎年金)
すべての人が加入する土台部分です。第1号被保険者(自営業者・学生など)と第3号被保険者(会社員・公務員の扶養配偶者)は、この1階部分のみの加入となります。
2階部分:厚生年金
第2号被保険者(会社員・公務員)が加入します。国民年金に加えて厚生年金にも加入しているため、将来は1階+2階の両方を受け取れます。
3階部分:企業年金等
一部の企業や公務員が加入します。企業年金、確定拠出年金、年金払退職給付(公務員)などがこれに当たります。
| 年金種類 | 被保険者種類 | 受け取れる種類 |
|---|---|---|
| 国民年金 | 第1号被保険者、第3号被保険者 | 国民年金のみ |
| 厚生年金 | 第2号被保険者 | 国民年金+厚生年金 |
| 企業年金等 | 第2号被保険者の一部 | 国民年金+厚生年金+企業年金等 |
当然、3階部分まで加入している人の方が、将来受け取れる年金額は多くなります。

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国民年金・厚生年金の保険料はいくら?
国民年金の保険料(2026年1月時点)
国民年金の保険料は毎年見直されます。直近の推移は以下の通りです。
- 2024年4月(令和6年)~:月額 16,980円
- 2025年4月(令和7年)~:月額 17,510円
- 2026年4月(令和8年)~:月額 17,920円(予定)
※2026年度の保険料は2026年2月頃に正式発表されます。なお、2026年1月時点で実際に支払っている「現行額」は、上の一覧のうち2025年4月~の17,510円です。
厚生年金の保険料
厚生年金の保険料は、現在の給与額によって決まります。重要なポイントは、保険料を会社と折半するという点です。
例えば、保険料が月3万円なら、自己負担は1万5千円で、残り1万5千円は会社が負担してくれます。この点で、第1号被保険者(自営業者等)よりも有利です。
※厚生年金は2階建て部分になるため、受取額には国民年金部分も含まれています。
第3号被保険者は保険料負担なし
第2号被保険者(会社員、公務員等)に扶養されている第3号被保険者は、保険料の支払いがありません。
第3号被保険者の年金は、第2号被保険者全体の保険料からまかなわれています。これは大きなメリットですが、離婚や配偶者の退職などで第3号から外れた場合は、自分で国民年金保険料を支払う必要があります。
国民年金保険料の推移(参考)
制度開始当初から現在までの保険料推移を見ると、年金制度の変遷がわかります。

1961年(昭和36年)の制度開始時は月額150円(35歳未満は100円)でした。1993年(平成5年)に1万円を超え、現在は約1万7千円~1万8千円まで上昇しています。
保険料の詳細については、以下のページで確認してください。
国民年金・厚生年金の保険料について
国民年金・厚生年金はいつから、いくらもらえるのか
年金を受け取ることができるのは、原則として65歳からです。
国民年金(基礎年金)の満額は、2025年度で年額831,700円(月額約69,300円)です。ただし、これは40年間(480ヶ月)満額で保険料を支払った場合の金額です。
保険料を支払っていない期間がある場合は、その月数分が減額されます。
厚生年金の受給額は、加入期間と現役時代の平均給与によって決まります。一般的には、国民年金よりも厚生年金の方が受給額は多くなります。
詳細は以下を確認してください。
国民年金はいつから受け取れるの、どれくらいもらえるの?
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年金制度の6つのメリット|払うだけ損ではない理由
「年金なんて払っても将来もらえない」と考える人もいますが、それは誤解です。年金制度には以下の6つのメリットがあります。
1. 財源は税金でカバーされる
国民年金の老齢基礎年金は、給付額の2分の1が国庫負担(税金)でまかなわれています。将来、保険料だけで不足する場合は、税金で補う仕組みになっています。
また、将来受け取れる金額は個人の加入状況などで変わりますが、制度全体としては税負担も含めた仕組みになっており、単純に「払った分がゼロになる制度」ではありません。
2. 長生きするほど得をする仕組み
2024年発表の日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.14歳でした。
仮に40年間満額で国民年金保険料を支払い、65歳から平均寿命まで生きた場合の収支を計算すると、以下のようになります。

男性でおよそ500万円、女性では1,000万円もトータルで得をした計算になります。
長く生きれば生きるほどお金がかかります。これを「長生きリスク」と言いますが、年金はそれを補うための重要な収入源になります。
3. インフレに強い(物価スライド制)
将来、物価が上がった場合、預貯金の価値は目減りします。例えば、3,000万円の貯蓄があっても、物価が3倍になれば実質的な価値は1,000万円に下がってしまいます。
年金には「物価スライド制」という仕組みがあり、賃金や物価に合わせて保険料と給付額のバランスが調整されます。物価が上がれば保険料も上がりますが、その分受け取る年金額も増える仕組みです(逆も同様)。
この点で、年金はインフレリスクに強い資産と言えます。
4. 障害年金と遺族年金が受け取れる
年金は老後の生活費だけではありません。
- 障害年金:病気やケガで障害を負った時に受け取れる
- 遺族年金:死亡した場合に残された遺族に支払われる
残念ながら、この2つの年金制度はあまり知られていません。しかし、いざという時の大きな支えになります。
障害年金や遺族年金が受け取れるかどうかで、今後の人生設計が大きく変わってきます。
詳細については、以下を参照してください。
5. 国民年金の免除や猶予の制度がある
収入が減って国民年金保険料が支払えない場合、免除制度や猶予制度を利用できます。
近年、国民年金保険料の未払いや滞納が社会問題となっていますが、保険料を納めることが経済的に苦しい場合は、一定の手続きをすれば免除や猶予を受けることができます。
免除制度を利用すれば、将来年金を受け取るための加入期間にカウントされます。さらに、全額免除の場合でも、年金の半分は受け取ることができます。
該当する場合は、この制度を利用しないと損です。
詳しくは以下のページをご覧ください。
国民年金を払えない場合は 国民年金保険料免除制度 を利用しましょう
6. 社会保険料控除の対象になる
年金保険料は社会保険料控除の対象です。会社員は年末調整で控除され、個人事業主は確定申告で申告します。
年金保険料を納めることで、所得税や住民税の負担が軽減されます。これも見逃せないメリットです。
まとめ|年金は老後の生活を支える重要な制度
年金制度には6つのメリットがあり、「払うだけ損」ではありません。
- 税金で財源の一部がカバーされている
- 長生きするほど得をする仕組み
- インフレに強い(物価スライド制)
- 障害年金・遺族年金という保障がある
- 免除・猶予制度がある
- 社会保険料控除で税負担が軽減される
年金は老後の生活資金として本当に大切なものです。自分がいくら年金を支払っていて、将来どのくらい受け取ることができるのかを、「ねんきん定期便」や「年金事務所の窓口」で常に把握しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 年金は何歳から受け取れますか?
原則として65歳から受け取れます。ただし、60歳からの繰り上げ受給や70歳以降の繰り下げ受給も選択できます(受給額は増減します)。
Q2. 国民年金と厚生年金の違いは何ですか?
国民年金は全員が加入する1階部分、厚生年金は会社員・公務員が加入する2階部分です。厚生年金に加入している人は、国民年金+厚生年金の両方を受け取れるため、受給額が多くなります。
Q3. 年金を10年間払えば本当にもらえますか?
はい。2017年8月1日以降、受給資格期間が25年から10年に短縮されました。累計で10年間保険料を支払っていれば(免除期間を含む)、将来年金を受け取ることができます。ただし、受給額は支払った期間に応じて決まります。
Q4. 厚生年金の保険料は全額自己負担ですか?
いいえ。厚生年金の保険料は会社と折半です。例えば保険料が月3万円なら、自己負担は1万5千円で、残り1万5千円は会社が負担してくれます。
Q5. 第3号被保険者は本当に保険料を払わなくていいのですか?
はい。第2号被保険者(会社員・公務員)に扶養されている配偶者で、年収130万円未満の方は第3号被保険者となり、保険料の支払いは不要です。ただし、離婚や配偶者の退職で第3号から外れた場合は、自分で国民年金保険料を支払う必要があります。
Q6. 年金保険料を払えない場合はどうすればいいですか?
免除制度や猶予制度を利用してください。未払いのまま放置すると将来の受給資格に影響しますが、免除申請をすれば受給資格期間にカウントされ、全額免除でも年金の半分は受け取れます。
Q7. 将来、年金制度は破綻しませんか?
制度改正は今後も行われる可能性がありますが、制度が突然ゼロになって何も受け取れなくなるような形で「消滅」する可能性は低いです。国民年金の給付額の2分の1は税金でまかなわれており、不足分は税金で補う仕組みになっています。受給額や受給開始年齢の変更はあり得ますが、制度そのものがなくなるとは考えにくいです。