健康保険

OTC類似薬が保険適用外に?2027年からの25%上乗せと対象薬

あなたが毎月処方してもらっている薬が、ある日「全額自己負担」になるかも。そんな噂を聞いて不安を感じていませんか?

結論から言うと、明日いきなり全額自己負担になるわけではありませんが、「大幅な値上げ(特別料金の上乗せ)」は現実味を帯びたスケジュールで検討が進んでいます。

2026年に入り、全国保険医団体連合会(保団連)が公開した情報が大きな話題を呼んでいます。2025年末の自民党と日本維新の会による協議で、「市販薬に似た処方薬(OTC類似薬)」の保険給付を段階的に見直し、最終的に最大7000品目・2兆円規模の削減(※推計値)を目指すプランが話し合われました。

ロキソニン、アレグラ、ヒルドイド、、、おそらくあなたにも聞き覚えのある薬が、見直しの対象として挙げられています。この記事では、いつから私たちの負担が増えるのか、ジェネリックなら大丈夫なのか、例外はないのかなど、今知っておくべきことをプロの視点でわかりやすく整理します。パニックにならず、正確な情報で備えましょう。

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そもそも「OTC類似薬」って何?

OTCとは「Over The Counter」の略で、薬局やドラッグストアで処方箋なしで買える市販薬のことです。

OTC類似薬とは、この市販薬と「同じ成分・同じ効き目」を持ちながら、医師に処方してもらうことで健康保険が使える医薬品のことを指します。

たとえばアレグラ(フェキソフェナジン)は、薬局でも購入できますが、医師に処方してもらえば保険が適用されます。処方してもらった場合、3割負担なら自己負担は数百円程度です。しかし薬局で自分で買うと、同じ成分でも1,500円前後かかることがあります。

保険適用の「お得さ」が問題になっている

同じ成分の薬でも、処方してもらえば保険で安く手に入る。この仕組みを利用して「ちょっとした症状でもとりあえず病院へ行く」という行動が広がり、国の医療費全体を押し上げているというのが、政府側の主な主張です。

一方で、「病院に行かないと手に入らない薬もある」「薬局で買えるといっても高くて手が届かない人もいる」という反論も根強くあります。単純に「市販で買えるから保険はいらない」とは言い切れない難しい問題です。

なぜ保険から外れるの?3分でわかる背景

いつから変わる?「最大2兆円削減(※試算)」のスケジュール案

日本の社会保障費が膨張する中、2025年末の政治的な合意などにより、具体的な見直しのタイムラインが浮上してきました。いきなりすべての薬が全額負担になるわけではなく、以下のような「段階的な見直し」が想定されています。

新制度のスケジュール案(段階的導入)

【現在政府内で検討されている有力なスケジュール案】

  • 第一段階:来年(2027年)3月からの開始案
  • 対象:花粉症薬など約77成分(約1100品目)
  • 内容:全額負担ではなく、薬剤費の「25%(4分の1)」を特別料金として上乗せ
  • 将来の目標:対象を最大7000品目に拡大し、2兆円規模の削減へ(※保団連などの試算による政治目標)

つまり、確定ではありませんが、来年(2027年)3月をめどに、一部の薬から「25%の値上げ(上乗せ)」が始まる案が有力視されています。実際の導入には法律や省令の改正が必要なため、今後の国会審議等で時期や詳細が変動する可能性はあります。

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「25%の上乗せ」の落とし穴!窓口の支払いは何倍になる?

「25%の上乗せと言っても、1,000円の薬が1,250円になるくらいなら大したことないのでは?」と思うかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

この「25%」は、私たちが普段レジで払う「窓口負担額」ではなく、「薬の本来の価格(10割の定価)」に対して上乗せされる仕組みだからです。

厚生労働省の資料では「薬剤費の4分の1(25%)に特別の料金を設定し、残りの4分の3を保険給付の対象とする」とされています。これを当てはめると、実際の窓口負担は以下のようになります。

【計算例】本来の価格(定価)が1,000円の薬の場合

  • 今の制度(3割負担):300円
  • 新案(25%上乗せ):
    ① 特別料金(全額自腹):1,000円 × 25% = 250円
    ② 保険適用分(残り750円の3割):750円 × 30% = 225円
    ③ 窓口での支払合計:250円 + 225円 = 475円(約1.6倍に値上がり)

さらに深刻なのは、ご高齢の方など「負担割合が低い人」ほど値上げのインパクトが大きくなるという点です。

負担割合 今の支払い 新制度案の支払い 負担の増え方
1割負担(75歳以上など) 100円 325円 3.25倍
2割負担(一定所得の高齢者等) 200円 400円 2.0倍
3割負担(現役世代) 300円 475円 約1.6倍

このように、定価に対しては25%の上乗せでも、私たちが実際に支払う金額は1.6倍〜3倍以上に跳ね上がることになります。薬を複数種類もらっている方や、毎月通院している方にとっては、決して「たいしたことない」では済まされない金額になります。

ただし、ここでも「子ども、がん・難病患者、低所得者」などは配慮措置(値上げ対象外)の検討が明記されています。最終的な制度設計によって実額は変わり得ますが、こうした計算のカラクリがあることは知っておくべきです。

過去の負担増(選定療養)とは何が違う?【超重要】

「えっ、薬の追加負担なら2024年の10月からもう始まっているよね?」と思った方は、非常に制度に詳しい方です。しかし、今回の「OTC類似薬の見直し案」は、過去の制度とは決定的な違いがあります。

2つの「薬代値上げ」の違い(超重要)

ジェネリックを選んでも原則として負担増になる

2024年10月に始まった「長期収載品の選定療養」は、ジェネリック(後発品)があるのに先発品を選んだ人だけが追加負担を払う仕組みでした。つまり、ジェネリックを選べば値上げを回避できました。

しかし今回のOTC類似薬の新案は、「市販薬と同じ成分なら、先発品・ジェネリック問わず原則として一律で25%上乗せする」という非常に強力な仕組みが検討されています。

つまり、「私はジェネリックを飲んでいるから大丈夫」という逃げ道が通用しなくなる可能性が高いのです。

ただし「例外(配慮措置)」も検討されている

「じゃあ、持病があって薬が欠かせない人も全員値上げされるの?」と不安になるかもしれません。ご安心ください。

厚生労働省の検討案では、全員が例外なく値上げになるわけではありません。子ども、がん・難病患者、低所得者、あるいは医師が「治療上どうしてもこの薬が必要」と判断した場合などは、配慮措置(値上げの対象外)とする方向で議論が進められています。

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保険見直しの対象になりうる薬の代表例

では、具体的にどんな薬が危ないのでしょうか。
以下の表は、保団連の資料や過去の健保連の提言などで「OTC類似薬の代表例」として挙げられてきたものです。

※注意:これらすべてが第一段階(来年3月予定の1100品目)に即座に含まれるとは限りません。あくまで将来的な「最大7000品目」の議論の中で、対象の俎上に載りやすい薬のリストとして参考にしてください。

あなたの薬は大丈夫?保険から外れる可能性がある薬リスト

症状・用途 対象になりうる薬の例
アレルギー(花粉症・じんましん) アレジオン錠、クラリチン錠、アレグラ錠、タリオン錠、フルナーゼ点鼻薬
解熱・消炎・鎮痛・湿布 ロキソニン錠、イブプロフェン、フェルビナクテープ、カロナール
かゆみ・湿疹・皮膚炎・保湿 ヒルドイドクリーム、リドメックスコーワ軟膏、リンデロンVG軟膏
咳・痰・呼吸器 ムコダイン錠、メジコン
慢性胃炎・胃潰瘍 ガナトン錠、ガスターD錠
便秘 マグミット錠
目のかゆみ・充血 リザベン点眼液、ゼペリン点眼薬

花粉症の薬、痛み止め、湿布、保湿クリーム——どれも日常的に使われる薬ばかりです。毎月定期的にこれらの薬を処方してもらっている方は、今後の家計への影響を考慮しておく必要があります。

私たちにできる対策は何か

「ジェネリックへの変更」が根本的な解決にならないとすれば、私たちはどう備えればよいのでしょうか。

今できる5つの対策チェックリスト

①「自分が使っている薬」と「市販薬の価格」を比較する

まずは自分のお薬手帳を確認し、自分の薬がOTC類似薬に該当するかチェックしましょう。その上で、ドラッグストアで同じ成分の薬がいくらで売られているかを確認します。25%上乗せされた処方薬の価格と、市販薬の価格を比較し、どちらが家計に優しいかシミュレーションしておくことが重要です。

②かかりつけ医に相談し、治療方針を見直す

「この薬が値上がりすると聞いたのですが、私にとって本当に必要でしょうか?」と率直に聞いてみることをおすすめします。漫然と続けていた保湿剤や湿布を減らす、生活習慣の改善で薬を減らすなど、医師と一緒に治療方針を考える良い機会になります。また、本当に必要な薬であれば、医師の判断により例外措置の対象となる可能性もあります。

③「値上がり前の買いだめ」は絶対に避ける

一部では「制度が変わる前に薬を買いだめしよう」という声も出ていますが、おすすめできません。

【薬の買いだめをおすすめしない理由】

  • 処方薬は医師の指示なしに大量処方してもらうことは不可能
  • 薬には使用期限があり、長期間保管すると劣化する
  • 市販薬の過剰な買いだめは、本当に必要な人への供給不足を招く

まずは現状の処方を継続しながら、冷静に制度の動向をウォッチすることが現実的です。

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まとめ:今は「知って備える」が最善

OTC類似薬の保険見直しは、早ければ2027年3月から「25%の特別料金の上乗せ」という形で第一段階がスタートする案が有力視されています。

2024年の選定療養とは異なり、原則としてジェネリックを選んでも負担増を避けられない仕組みになる可能性が高いため、家計への影響は決して小さくありません。しかし、子どもや難病患者、医師が必要と認めた場合の例外措置も同時に検討されています。

パニックにならずに、今すぐできることは「自分が使っている薬の確認」と「本当に必要な薬かの見直し」です。今後の詳細な対象品目や確定スケジュールについては、このブログでも随時最新情報を更新していきます。ぜひ定期的にチェックして、家計へのダメージを最小限に抑えましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 明日から突然、薬が全額自己負担になるのですか?

いいえ、突然全額負担になるわけではありません。現在の有力な案では、2027年3月頃をめどに、まずは約1100品目を対象に「25%の特別料金を上乗せする」という段階的なスタートが想定されています。

Q. ジェネリック医薬品(後発品)を選べば、値上げを回避できますか?

今回議論されている「OTC類似薬」の見直し案においては、原則として回避できない可能性が高いです。市販薬と同じ成分であれば、先発・後発を問わず一律で上乗せするという案だからです。ただし、子どもやがん・難病患者、医師が必要と認めた場合は例外となる配慮措置も併せて検討されています。

Q. 対象の薬を処方されていますが、突然使えなくなりますか?

制度が変わったとしても、薬そのものが使えなくなることはありません。医師の処方があれば薬は引き続き入手できますが、薬局での支払い額(自己負担)が大きく跳ね上がるという意味です。

Q. 慢性疾患で毎月同じ薬を処方してもらっています。どうすればいいですか?

まずはかかりつけ医に相談してください。医師が「治療上どうしても必要」と判断した場合は、例外措置(値上げの対象外)として従来の保険が適用される可能性もあります。費用の不安から、自分の判断で急に薬を中断することだけは絶対に避けてください。

Q. セルフメディケーション税制って何ですか?活用できますか?

対象の市販薬(OTC医薬品)の購入額が「年間12,000円」を超えた場合に、超えた分(最大88,000円まで)が所得控除される制度です。職場の健康診断や市町村のがん検診などを受けていることが条件になります。仮に処方薬が高くなり、市販薬を買うことになった場合、家計負担を少し取り戻す手段として有効です。

セルフメディケーション税制のしくみ

参考・出典

  • 厚生労働省「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について」
  • 厚生労働省「長期収載品の選定療養について」
  • 国税庁「セルフメディケーション税制の概要」
  • 全国保険医団体連合会「OTC類似薬の保険給付見直しに関する見解等」

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