税金

住民税の計算方法と仕組み|年収いくらからかかる?非課税の壁も解説

給与明細を見て「住民税って、どうやって決まっているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

住民税は所得税と並んで、私たちが毎年納めている身近な税金です。しかし、計算方法は複雑で、所得税とも微妙に違います。

このページでは、住民税の仕組みから具体的な計算方法まで、図や具体例を使ってわかりやすく解説します。「自分の住民税がいくらになるのか」を計算できるようになることを目指します。

また、住民税が非課税になる条件や、所得税との違いについても詳しく説明していきます。

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住民税とは?基本的な仕組み

住民税とは、都道府県民税と市区町村民税を合わせた税金のことです。自分が住んでいる地域(都道府県・市区町村)に納める地方税で、地域の教育、福祉、道路整備などの公共サービスに使われます。

日本で私たちが払う主な税金は以下の3つです。

  • 所得税:国に納める税金
  • 住民税:都道府県・市区町村に納める税金
  • 消費税:商品やサービスを購入したときにかかる税金

収入から引かれる税金(所得税・住民税)

このうち、所得税と住民税は収入(所得)に応じて税額が決まります。収入が多ければ多いほど、納める税金も増える仕組みです。

住民税と所得税の違い

住民税と所得税は、どちらも所得に応じて課税される点では同じですが、以下のような違いがあります。

住民税 所得税
納付先 都道府県・市区町村
税率 一律10%(原則) 累進課税(5%~45%)
課税のタイミング 前年の所得に対して課税 その年の所得に対して課税
基礎控除額 43万円(所得2,400万円以下) 48万円(所得2,400万円以下)

特に注意したいのが「課税のタイミング」です。住民税は前年の所得に対して課税されるため、例えば2025年に稼いだ収入に対する住民税は、2026年6月から納付することになります(会社員は通常、2026年6月~2027年5月の給与から天引き)。

このため、退職して収入がなくなった翌年でも、前年の所得に応じた住民税を納める必要があります。退職後の住民税負担に驚く人が多いのはこのためです。

住民税の2つの構成要素

住民税は「所得割」「均等割」の2つから構成されています。

  • 所得割:所得金額に応じて課税される部分(税率10%)
  • 均等割:所得に関係なく一定額が課税される部分(年間4,000円+森林環境税1,000円)

つまり、住民税 = 所得割 + 均等割(森林環境税含む)という計算式になります。

住民税の計算方法:3つのステップ

住民税がどのように計算されるのか、全体の流れを見ていきましょう。

住民税の計算の流れ

収入から必要経費と所得控除を引いたのが課税所得金額

住民税の計算は、以下の3つのステップで進みます。

  • ステップ1:収入から「所得金額」を算出する(必要経費を引く)
  • ステップ2:所得金額から「課税所得金額」を算出する(所得控除を引く)
  • ステップ3:課税所得金額をもとに「住民税額」を計算する

それでは、各ステップを詳しく見ていきます。

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ステップ1:収入から所得金額を算出する

まず、収入から必要経費を差し引いて「所得金額」を計算します。

所得の種類は10種類

所得には以下の10種類があり、それぞれ計算方法が異なります。

種類 内容
①利子所得 預貯金・国債などの利子の所得
②配当所得 株式や出資の配当などの所得
③不動産所得 土地や建物を貸している場合の所得
④事業所得 商工業・農業などの事業をしている場合の所得
⑤給与所得 給与・賃金・ボーナスなどの所得
⑥退職所得 退職金などの所得
⑦山林所得 山林の立木を売った場合の所得
⑧譲渡所得 土地や建物、株式やゴルフ会員権などを売った場合の所得
⑨一時所得 生命保険の満期一時金・立退料など一時的な所得
⑩雑所得 公的年金・生命保険契約等に基づく年金など①~⑨以外の所得

サラリーマンの場合は⑤の給与所得が中心になります。

サラリーマンの給与所得控除額

個人事業主であれば、仕事で使った経費(広告宣伝費、地代家賃、通信費など)を必要経費として計上できます。しかし、サラリーマンには実際の経費がありません。

その代わりとして、収入に応じて一定額を必要経費として認める「給与所得控除」という制度があります。

給与所得控除額表(現在適用される基準)

給与等の収入金額 給与所得控除額
162.5万円以下 55万円
162.5万円超~180万円以下 収入金額×40%-10万円
180万円超~360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超~660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超~850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

計算例:年収500万円の場合

年収500万円の場合、「360万円超~660万円以下」に該当します。

給与所得控除額 = 500万円 × 20% + 44万円 = 144万円

したがって、所得金額は以下のようになります。

所得金額 = 500万円 - 144万円 = 356万円

個人事業主の必要経費

個人事業主の場合、「仕事をする上で必要な費用」を必要経費として計上できます。

主な必要経費の例:

  • 仕事に必要な機器(パソコン、周辺機器、ソフト)
  • 文房具、コピー用紙、その他消耗品
  • 家賃、光熱費、通信費などの事務所経費
  • 広告宣伝費
  • 営業、打ち合わせなどの交通費
  • 接待交際費、会議費など

ただし、必要経費として認められるかどうかは、個人の状況や事業内容によって異なります。

ステップ2:所得金額から課税所得金額を算出する

所得金額が計算できたら、次に「所得控除」を差し引いて「課税所得金額」を算出します。

課税所得金額 = 所得金額 - 所得控除

この課税所得金額が、実際に住民税を計算するときのベースになります。

所得控除の種類

所得控除には以下のような種類があります。

種類 控除を受けられる場合 控除額(住民税)
基礎控除 すべての納税者が受けられる 43万円(所得2,400万円以下)
社会保険料控除 健康保険料、年金保険料などを支払った 支払った社会保険料の全額
医療費控除 一定額以上の医療費を支払った 医療費-保険金等-10万円(上限200万円)
生命保険料控除 生命保険料を支払った 最高7万円
地震保険料控除 地震保険料を支払った 最高2.5万円
配偶者控除 配偶者の合計所得が48万円以下 33万円(配偶者が70歳以上は38万円)
配偶者特別控除 配偶者の合計所得が48万円超133万円以下 最高33万円
扶養控除 扶養親族がいる 33万円(特定扶養親族は45万円、老人扶養親族は38万円または45万円)
障害者控除 本人や配偶者、扶養親族が障害者 26万円(特別障害者は30万円、同居特別障害者は53万円)
寡婦・ひとり親控除 寡婦またはひとり親である 26万円(ひとり親は30万円)
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済、iDeCoなどの掛金を支払った 支払った掛金の全額

住民税と所得税で控除額が違う

注意したいのは、住民税と所得税では控除額が異なる点です。多くの控除で、住民税の方が控除額が少なくなっています。

例:基礎控除

  • 所得税の基礎控除:48万円
  • 住民税の基礎控除:43万円

「103万円の壁」と「100万円の壁」

よく聞く「103万円の壁」とは、所得税が非課税になるラインです。

給与収入が103万円以下の場合:

  • 給与所得控除:55万円
  • 基礎控除(所得税):48万円
  • 合計:103万円

収入103万円から控除103万円を引くとゼロになるため、所得税がかかりません。

しかし、住民税には「約100万円の壁」があります。住民税の基礎控除は43万円で所得税より低く、さらに均等割の非課税基準(合計所得金額45万円など)は自治体の級地区分や扶養の有無で変わります。そのため、給与収入が概ね93万円~100万円程度を超えると、住民税が課税される自治体が多いです。

つまり、年収100万円超~103万円以下の場合、所得税はかからないが住民税はかかる(可能性が高い)ということになります。

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ステップ3:住民税額を計算する

課税所得金額が算出できたら、いよいよ住民税額を計算します。

住民税は「所得割」「均等割」の合計です。

市区町村民税と都道府県税の所得割と均等割

所得割の計算

所得割は、課税所得金額に一定の税率をかけて計算します。

税率(標準税率)

  • 市区町村民税:6%
  • 都道府県民税:4%
  • 合計:10%

例:課税所得金額が200万円の場合

市区町村民税 = 200万円 × 6% = 12万円

都道府県民税 = 200万円 × 4% = 8万円

所得割合計 = 20万円

均等割の金額(2024年度以降)

均等割は、所得に関係なく一律に課税される金額です。2024年度(令和6年度)からは復興特別税が終了し、新たに森林環境税(国税)が導入されました。

標準的な均等割額(年額)

  • 市区町村民税:3,000円
  • 都道府県民税:1,000円
  • 森林環境税:1,000円(国税だが住民税と合わせて徴収)
  • 合計:5,000円

※2023年度までは復興特別税(1,000円)が含まれていましたが、入れ替わりで森林環境税が導入されたため、合計額は5,000円で変わりません。ただし、自治体によっては独自の超過課税がある場合があります。

住民税の合計

住民税 = 所得割 + 均等割(+森林環境税)

上記の例では、20万円 + 5,000円 = 20万5,000円が年間の住民税額になります。

具体例:サラリーマンの住民税計算

実際にサラリーマンの佐藤さんを例に、住民税を計算してみます。

住民税の計算例(給与・家族構成)

佐藤さんの状況

  • 年間給与総額:450万円
  • 妻(専業主婦)
  • 子ども1人(19歳・大学生)
  • 社会保険料:年間60万円

ステップ1:所得金額の計算

まず、給与所得控除を計算します。

年収450万円は「360万円超~660万円以下」に該当するため:

給与所得控除額 = 450万円 × 20% + 44万円 = 134万円

所得金額 = 450万円 - 134万円 = 316万円

ステップ2:課税所得金額の計算

次に、所得控除を計算します。

佐藤さんが受けられる所得控除:

  • 基礎控除:43万円
  • 配偶者控除:33万円
  • 扶養控除(特定扶養親族):45万円
  • 社会保険料控除:60万円

所得控除合計 = 43万円 + 33万円 + 45万円 + 60万円 = 181万円

課税所得金額 = 316万円 - 181万円 = 135万円

住民税額までの流れ図

ステップ3:住民税の計算

所得割

市区町村民税 = 135万円 × 6% = 81,000円

都道府県民税 = 135万円 × 4% = 54,000円

所得割合計 = 135,000円

均等割・森林環境税

市区町村民税:3,000円

都道府県民税:1,000円

森林環境税:1,000円

均等割合計 = 5,000円

住民税合計

135,000円 + 5,000円 = 140,000円

佐藤さんの年間住民税額は14万円です。これを12で割ると、月額約11,600円を給与から天引きされることになります。

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住民税が非課税になる条件

一定の条件を満たす場合、住民税が非課税(所得割・均等割ともにかからない)になります。

非課税になる主な条件

以下のいずれかに該当する場合、住民税が非課税になります。

  • 生活保護を受けている
  • 未成年者、障害者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与収入のみなら204.4万円未満)
  • 前年の合計所得金額が自治体の定める基準以下

自治体ごとの非課税基準

3つ目の「自治体の定める基準」は、扶養親族の数によって変わります。

東京23区の例(均等割も非課税になるライン)

扶養親族の数 合計所得金額 給与収入(参考)
0人(本人のみ) 45万円以下 100万円以下
1人 111万円以下 約171万円以下
2人 146万円以下 約221万円以下
3人 181万円以下 約271万円以下

※自治体によって基準(級地区分)が異なるため、詳細は各自治体のホームページで確認してください。

住民税に関する実務的な知識

検索でよく見かける「住民税控除」とは、一般に控除を使って住民税の負担を減らすことを指します。大きく分けると、(1)課税所得を減らす「所得控除」(iDeCo、社会保険料控除、医療費控除など)と、(2)税額から差し引く「税額控除」(ふるさと納税、住宅ローン控除の住民税分など)があります。

ふるさと納税で住民税を減らせる

ふるさと納税は、自己負担2,000円で好きな自治体に寄付ができ、寄付額のうち2,000円を超える部分が住民税(と一部所得税)から控除される制度です。

控除上限額は年収や家族構成によって異なりますが、例えば年収500万円・独身の場合、約6万円程度がふるさと納税の上限額になります。

住宅ローン控除で住民税が減る場合

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、所得税から控除しきれなかった分を住民税から控除できる場合があります。

ただし、住民税からの控除額には上限があり、課税所得金額の5%(最高9.75万円)までとなっています(※2022年以降入居の場合)。

退職後の住民税に注意

前述のとおり、住民税は前年の所得に対して課税されます。そのため、退職して収入がなくなった翌年でも、前年の所得に応じた住民税を納める必要があります

退職時には、以下のいずれかの方法で住民税を納付します。

  • 退職月が1~5月:残りの住民税を一括徴収
  • 退職月が6~12月:普通徴収(自分で納付書を使って支払う)に切り替え(希望すれば一括徴収も可)

退職後の生活費を計算する際は、住民税の支払いも忘れずに考慮してください。

まとめ

住民税の計算は複雑ですが、仕組みを理解すれば自分で概算できるようになります。

重要なポイントをまとめます。

  • 住民税 = 所得割(税率10%)+ 均等割(5,000円※森林環境税含む)
  • 前年の所得に対して課税されるため、退職翌年も支払いが発生する
  • 住民税と所得税では控除額が異なる(住民税の方が控除額が少ない)
  • 年収100万円を超えると住民税が課税される(103万円の壁とは別、自治体差あり)
  • ふるさと納税や住宅ローン控除で住民税を減らせる

住民税の仕組みを理解しておけば、ふるさと納税の上限額を計算したり、退職後の資金計画を立てたりする際に役立ちます。

「所得税」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

所得税の計算(誰でもわかる図解で解説)

よくある質問

住民税はいつから払い始めますか?

前年に所得があった場合、翌年の6月から住民税の支払いが始まります。サラリーマンの場合は6月から翌年5月まで、給与から毎月天引きされます。

住民税と所得税の違いは何ですか?

住民税は都道府県・市区町村に納める地方税で、税率は一律10%(原則)です。所得税は国に納める税金で、累進課税(5%~45%)です。また、住民税は前年の所得に対して課税されますが、所得税はその年の所得に対して課税されます。

年収いくらから住民税がかかりますか?

自治体や扶養親族の有無によって異なりますが、一般的には給与収入で年間100万円を超えると住民税が課税されます。ただし、未成年者や障害者などの場合は非課税限度額が異なります。

退職したら住民税はどうなりますか?

退職しても、前年の所得に応じた住民税を納める必要があります。退職時期によって、残りの住民税を一括徴収されるか、普通徴収(自分で納付書を使って支払う)に切り替わります。

住民税を安くする方法はありますか?

ふるさと納税、iDeCo(個人型確定拠出年金)、医療費控除などを活用することで、課税所得金額を減らし、結果的に住民税を減らすことができます。

給与明細の住民税が急に増えたのはなぜですか?

住民税は前年の所得に対して課税されるため、前年に収入が増えた、扶養親族が減った、各種控除(配偶者控除など)が受けられなくなったなどの理由が考えられます。

住民税の基礎控除はいくらですか?

住民税の基礎控除は43万円です(合計所得金額2,400万円以下の場合)。なお、所得税の基礎控除は48万円で、住民税より5万円多くなっています。

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