もしあなたが事故で大量出血して、今すぐ輸血が必要になったとしたら。
あなたの血液型には、すぐに使える血液がどれだけあるでしょうか?
そもそも血液型はA型、B型、O型、AB型の4種類だと思っていませんか? 実はRh(アールエイチ)のプラスとマイナスを加えると全部で8種類。そして、この8種類の間には「もらえる・もらえない」の厳しいルールが存在します。
「8種類どれでもOK」という最強に恵まれた血液型がある一方で、「たった1種類しか受け付けない」という圧倒的に不利な血液型もあるのです。
この記事では、輸血のルールをわかりやすく解説しながら、「一番得する血液型」と「一番損する血液型」をランキング形式で発表します。自分や家族の血液型がどのポジションにいるのか、ぜひ確認してみてください。
■目次
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そもそも血液型って何で決まるの?
血液型というと「性格占い」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし本来は、命に関わる医学的な分類です。
血液型は、赤血球の表面にある「抗原」という物質の種類で決まります。赤血球を地球に例えるなら、抗原は地球の表面に突き出たアンテナのようなもの。このアンテナの形が人によって違うので、血液型が分かれるのです。
ABO式:4つの基本タイプ
もっとも有名な分類方法が「ABO式血液型」です。1900年にオーストリアの科学者ランドシュタイナーが発見しました。
| 血液型 | 赤血球の抗原 | 血清中の抗体 |
|---|---|---|
| A型 | A抗原がある | 抗B抗体を持つ |
| B型 | B抗原がある | 抗A抗体を持つ |
| O型 | どちらもない | 抗Aと抗Bの両方を持つ |
| AB型 | AとBの両方ある | どちらも持たない |
ポイントは「自分が持っていない抗原に対する抗体を、生まれつき持っている」ということ。A型の人はB型の血が入ってくると、体内の抗体がそれを「敵だ!」と認識して攻撃してしまいます。これが輸血事故につながります。
Rh式:プラスとマイナス
ABO式に加えてもう一つ重要なのが「Rh(アールエイチ)式血液型」です。赤血球の表面に「D抗原」があるかないかで分かれます。
Rh式血液型のポイント
- D抗原がある → Rh+(プラス)
- D抗原がない → Rh-(マイナス)
- 日本人のRh-の割合は約0.5%(200人に1人)
- 白人ではRh-が約15%と比較的多い
Rh-の人にRh+の血液を輸血すると、体内で抗D抗体がつくられてしまい、次に輸血を受けたときに重大な副作用が起こる危険があります。そのため、Rh-の人にはRh-の血液しか輸血できないのが原則です。
逆に、Rh+の人にRh-の血液を輸血することは問題ありません。D抗原がない血液なので、攻撃される心配がないからです。
日本人の血液型の割合は?8種類の内訳
日本人のABO式血液型の割合は、おおよそ次の通りです(※調査や地域差があるため概算値です)。
| 血液型 | 割合 | イメージ |
|---|---|---|
| A型 | 約40% | 10人中4人 |
| O型 | 約30% | 10人中3人 |
| B型 | 約20% | 10人中2人 |
| AB型 | 約10% | 10人中1人 |
これにRh式を組み合わせると、8種類の割合が計算できます。日本人の99.5%がRh+なので、Rh-はどの血液型でもかなり少数派です。
| 血液型 | A+ | A- | O+ | O- | B+ | B- | AB+ | AB- |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 割合(概算) | 39.8% | 0.2% | 29.85% | 0.15% | 19.9% | 0.1% | 9.95% | 0.05% |
| 何人に1人? | 2.5人 | 500人 | 3.3人 | 667人 | 5人 | 1,000人 | 10人 | 2,000人 |
AB型Rh-は日本人の約2,000人に1人。全校生徒1,000人の学校が2つあって、ようやく1人いるかどうかという計算です。逆にA型Rh+は2〜3人に1人。身の回りにたくさんいる血液型です。
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輸血のルール。誰から誰に血液をあげられる?
ここからが本題です。輸血にはどんなルールがあるのでしょうか。
大原則は「同じ血液型同士で輸血する」こと。A型にはA型、B型にはB型。これが基本です。
ただし、同じ血液型が手に入らない緊急時には、条件つきで違う型の血液を使えるケースがあります。
赤血球の輸血ルール
赤血球輸血の適合ルール
- O型の赤血球 → A型、B型、AB型、O型の全員に輸血できる(ABO式での万能供血者)
- A型の赤血球 → A型とAB型に輸血できる
- B型の赤血球 → B型とAB型に輸血できる
- AB型の赤血球 → AB型にしか輸血できない
O型の赤血球にはA抗原もB抗原もないため、ABO式においてはどの血液型の人に入れても「敵だ!」と攻撃されません。
しかし、実際の医療現場で「万能」として扱われるのは、ここにRhの条件を加えた「O型かつRh-」の血液です。緊急時に血液型を調べる暇もないほど危険な状態では、まず「O型Rh-」の赤血球を輸血するのが原則です。O型Rh+を投与した場合、患者がRh-だと抗D抗体がつくられ、次の輸血時に重大な副作用を起こす危険があるためです。
受ける側から見ると?
今度は「もらう側」の視点で見てみましょう。
| あなたの血液型 | もらえる血液型 |
|---|---|
| AB型 | A型、B型、AB型、O型(全部OK) |
| A型 | A型、O型 |
| B型 | B型、O型 |
| O型 | O型のみ |
AB型はABO式において全員からもらえる「万能受血者(ユニバーサルレシピエント)」です。一方、O型は自分と同じO型からしかもらえません。
Rhを加えるとさらに差がつく
ここにRhの条件が加わると、状況はさらに変わります。
Rh+の人はRh+もRh-も受け取れますが、Rh-の人はRh-からしか受け取れません。つまり、Rh-は選択肢が一気に狭まるのです。
【ランキング】輸血で一番「得する」血液型はどれだ?
ここからは、「緊急時にどれだけ多くの血液型から輸血を受けられるか」という観点で、8種類の血液型をランキングにしてみます。
もらえる血液型が多いほど、緊急時に適合する血液が見つかりやすい。ここでは便宜上「得する」と表現します。
| 順位 | 血液型 | もらえる型(赤血球) | 選択肢の数 | 日本人の供給源 |
|---|---|---|---|---|
| 🥇1位 | AB型 Rh+ | 全8種類 | 8種類 | ほぼ全員 |
| 🥈2位 | A型 Rh+ | A+、A-、O+、O- | 4種類 | 約70% |
| 🥈2位 | B型 Rh+ | B+、B-、O+、O- | 4種類 | 約50% |
| 4位 | AB型 Rh- | A-、B-、AB-、O- | 4種類 | 約0.5% |
| 5位 | O型 Rh+ | O+、O- | 2種類 | 約30% |
| 6位 | A型 Rh- | A-、O- | 2種類 | 約0.35% |
| 6位 | B型 Rh- | B-、O- | 2種類 | 約0.25% |
| 🏴8位 | O型 Rh- | O-のみ | 1種類 | 約0.15% |
1位:AB型Rh+。最強の「もらい上手」
AB型Rh+は、ABO式で全4型から、Rh式でプラスもマイナスも受け取れるため、8種類すべての血液を輸血してもらえます。
AB型の赤血球にはA抗原もB抗原もあるため、体内にA抗原やB抗原を「敵」と認識する抗体がありません。さらにRh+なのでD抗原に対しても問題なし。まさに「もらい上手」の頂点です。
ただし、AB型Rh+は「あげる」側としては弱い。AB型の赤血球はAB型にしか渡せないので、あげられる相手は10人中1人だけです。
最下位:O型Rh-。最も「割を食う」血液型
O型Rh-は、ABO式でO型からしかもらえず、Rh式でもマイナスからしかもらえないため、もらえる血液はO型Rh-ただ1つ。
日本人のO型Rh-は約0.15%。667人に1人しかいません。事故で大量出血したとき、自分に合う血液がすぐに見つかるとは限らない。これはかなり厳しい状況です。
しかし逆に、O型Rh-の血液は全8種類の血液型の人に輸血できる「究極の万能血液」です。誰にでもあげられるけど、自分がもらえるのは自分と同じ型だけ。まさに「自己犠牲の血液型」と言えるかもしれません。
【真のランキング】実際に「もらえる人口」で並べ替えると?
ここまでのランキングは「もらえる血液型の種類の数」で並べたもの。しかし、本当に大事なのは「日本人の何%から血液を調達できるか」ではないでしょうか。
たとえばO型Rh+は、もらえる型こそ2種類(O+とO-)しかありませんが、O型は日本人の約30%を占めるため、実は適合する供給源がかなり多い。逆にAB型Rh-は、もらえる型が4種類あっても、すべてRh-なので合計してもわずか0.5%。理論上の選択肢と、実際に手に入る確率はまったく違うのです。
そこで「実際にもらえる日本人の人口比率」で並べ替えたのが、こちらのランキングです。
| 順位 | 血液型 | もらえる型 | 種類数 | 日本人口の何%? | 種類数の順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🥇1位 | AB型 Rh+ | 全8種類 | 8種類 | 100% | → 1位(変動なし) |
| 🥈2位 | A型 Rh+ | A+, A-, O+, O- | 4種類 | 約70% | → 2位(変動なし) |
| 🥉3位 | B型 Rh+ | B+, B-, O+, O- | 4種類 | 約50% | → 2位タイから単独3位へ |
| 4位 | O型 Rh+ | O+, O- | 2種類 | 約30% | → 5位から4位に上昇↑ |
| 5位 | AB型 Rh- | A-, B-, AB-, O- | 4種類 | 約0.5% | → 4位から5位に下落↓ |
| 6位 | A型 Rh- | A-, O- | 2種類 | 約0.35% | → 6位(変動なし) |
| 7位 | B型 Rh- | B-, O- | 2種類 | 約0.25% | → 6タイから単独7位へ |
| 🏴8位 | O型 Rh- | O-のみ | 1種類 | 約0.15% | → 8位(変動なし) |
人口比ランキングで逆転したポイント
- O型Rh+が5位→4位に上昇。もらえる型は2種類だけだが、O型は日本人の30%を占めるため、供給源は十分にある
- AB型Rh-が4位→5位に下落。もらえる型は4種類あっても、すべてRh-(日本人の0.5%)なので、実際に適合する血液を確保するのは極めて困難
つまり、AB型Rh-の人は「理論上はいろんな型をもらえるけど、実際にはほとんど見つからない」という厳しい現実があります。種類数では4位なのに、実質的にはRh-の世界に閉じ込められているのです。
一方、O型Rh+は「選択肢はたった2つだけど、日本人の3人に1人近くが該当する」ため、実際の輸血現場では血液の確保にそこまで困りません。見た目のハンデと、現実のハンデは違うということです。
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【逆ランキング】輸血で一番「あげられる」血液型は?
今度は「あげる側」の視点でランキングにしてみましょう。「自分の血液を、どれだけ多くの人に輸血できるか」という基準です。
| 順位 | 血液型 | あげられる相手 |
|---|---|---|
| 🥇1位 | O型 Rh- | 全8種類(全員OK) |
| 🥈2位 | O型 Rh+ | A+、B+、AB+、O+(Rh+の全員) |
| 3位 | A型 Rh- | A+、A-、AB+、AB- |
| 3位 | B型 Rh- | B+、B-、AB+、AB- |
| 5位 | A型 Rh+ | A+、AB+ |
| 5位 | B型 Rh+ | B+、AB+ |
| 7位 | AB型 Rh- | AB+、AB- |
| 🏴8位 | AB型 Rh+ | AB+のみ |
おもしろいことに、「もらう」ランキングの1位と最下位が、「あげる」ランキングでは完全に入れ替わっています。
血液型の損得まとめ
- AB型Rh+:もらうのは最強、あげるのは最弱
- O型Rh-:あげるのは最強、もらうのは最弱
- この2つは完全に「真逆」の関係
知っておきたい血液型の豆知識
ここからは、血液型にまつわる「へぇ〜」な豆知識を紹介します。
①「ゴールデン・ブラッド」という超レア血液型がある
世界には「Rh null(アールエイチ・ヌル)」という、Rh系の抗原を一切持たない血液型が存在します。世界でわずか50人程度しか確認されておらず、「黄金の血(ゴールデン・ブラッド)」と呼ばれています。
この血液は理論上、誰にでも輸血できる究極の万能血液ですが、本人が輸血を受けるときはRh null同士でしか適合しません。まさに「究極の自己犠牲型」です。
②O型はもともと「0(ゼロ)型」だった
ランドシュタイナーが最初に分類したのはA型、B型、そして「C型」の3つでした。しかし、この3番目のタイプはA抗原もB抗原も「持っていない=0(ゼロ)」ことが特徴だったため、後に「0型」と呼ばれるようになり、それがいつの間にかアルファベットの「O(オー)型」として定着したのです。
③世界で最も多い血液型はO型
日本ではA型が最多ですが、世界全体で見るとO型が一番多く、全人口の45〜50%を占めるとされています。中南米などの一部の国ではO型の割合が特に高く、中南米の純粋な先住民に限ればO型がほぼ100%という驚きのデータもあります。
④Rh-は日本人では200人に1人、白人では6〜7人に1人
日本ではRh-は約0.5%と非常に珍しいのですが、白人では約15%。つまり、海外に行くとRh-の人はそれほど珍しくありません。血液型の分布は人種や地域によって大きく異なるのです。
⑤緊急時の切り札は「O型Rh-」の血液
事故などで一刻を争う場面では、血液型を調べている時間すらありません。そんなとき医療現場では、まず「O型Rh-」の赤血球を輸血します。A・B抗原がなく、さらにD抗原もないため、どの血液型の人に輸血しても最も副作用のリスクが低いからです。O型Rh-の献血は、まさに「最後の砦」です。
⑥ボンベイ型。日本では数百万人に1人の超希少血液型
ABO式の検査ではO型と判定されるのに、実はO型とも違う「ボンベイ型」という血液型があります。インドのボンベイ(現在のムンバイ)で発見されたためこの名がつきました。日本では数百万人に1人とされる極めて希少な型で、輸血にはボンベイ型同士の血液が必要です。
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血液型と献血。あなたの血液が誰かの命を救う
ここまで読んで、「O型Rh-って大変だな」と思った方もいるかもしれません。でも、この問題を解決する方法が一つあります。それが献血です。
特に不足しがちなのがRh-の血液。日本人の200人に1人しかいないため、常にストックが不足しがちです。自分がRh-だとわかっている方は、ぜひ献血にご協力ください。あなたの血液が、同じRh-の誰かの命を救う可能性があります。
【献血できる条件(目安)】
- 年齢:16歳以上(200mL)、17歳以上(400mLや成分献血)※女性の400mL献血は18歳以上
- 体重:男性45kg以上、女性40kg以上 ※400mL献血は男女とも50kg以上
- 体調が良好であること
- 前回の献血から一定期間が空いていること
献血した血液には「消費期限」がある
意外と知られていないのが、献血された血液にも食品と同じように「消費期限」があるということです。血液は生きた細胞なので、長期保存ができません。
| 血液製剤の種類 | 有効期間 | 保存温度 |
|---|---|---|
| 赤血球製剤 | 採血後28日間 | 2〜6℃ |
| 血小板製剤 | 採血後4日間 | 20〜24℃(振とう保存) |
| 血漿製剤 | 採血後1年間 | -20℃以下(凍結) |
事故や手術で最も使われる赤血球製剤の有効期間は、たったの28日間。血小板に至ってはわずか4日間で、検査期間を除くと実質3日程度しか使えません。
日本では毎日約3,000人の患者が輸血を受けています。血液製剤の在庫は常に適正在庫である「3日分」程度しかなく、有効期限を過ぎた血液は廃棄せざるを得ません。献血は「一度やればOK」ではなく、年間を通じて継続的に必要とされているのです。
日本赤十字社のサイトで、最寄りの献血ルームを検索できます。
まとめ
血液型を「性格占い」として楽しむのも悪くありませんが、本来の意味を知ると、もっと深い世界が見えてきます。
AB型Rh+は誰からでももらえるけど、あげるのは苦手。O型Rh-は誰にでもあげられるけど、もらうのは大変。どの血液型にも「得意」と「不得意」があります。お互いの血液型が補い合うことで、輸血の仕組みは成り立っています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 血液型が違う血液を輸血するとどうなりますか?
血液型が合わない赤血球が体内に入ると、免疫が「異物」として攻撃し、赤血球が壊れる「溶血反応」が起きます。発熱、血圧低下、腎不全など重篤な症状につながり、最悪の場合は命に関わります。
Q. O型Rh-はなぜ「究極の万能血液」と呼ばれるのですか?
O型Rh-の赤血球にはA抗原もB抗原もなく、さらにRh因子のD抗原もありません。そのため、どの血液型の人に輸血しても免疫から「敵」と認識されにくく、緊急時に最も安全に使える血液として重宝されています。
Q. Rh-の人がRh+の血液を輸血されたらどうなりますか?
1回目は大きな問題が起きないこともありますが、体内で抗D抗体がつくられます。2回目にRh+の血液を輸血されると、この抗体が輸血された赤血球を破壊し、重大な副作用を引き起こす危険があります。
Q. 自分の血液型がわからないのですが、調べたほうがいいですか?
日常生活で問題はありませんが、知っておくと安心です。ただし、緊急時の輸血では本人の申告に頼らず、必ず病院で検査してから輸血します。自分の血液型を間違えて覚えている人もいるため、自己申告だけで輸血することは絶対にありません。
Q. 世界で一番珍しい血液型は何ですか?
Rh null(アールエイチ・ヌル)という血液型で、世界でわずか50人程度しか確認されていません。「ゴールデン・ブラッド(黄金の血)」と呼ばれ、理論上は誰にでも輸血できますが、本人は同じRh nullからしか輸血を受けられません。
参考・出典
- 日本輸血・細胞治療学会「輸血療法の実施に関する指針」
- 日本赤十字社「献血者血液型統計」
- 日本赤十字社「まれな血液型について」




